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KENWOOD GLASS Core Pro レビュー|業界初のガラス振動板は、音楽を選ぶ

KENWOOD GLASS Core Pro

こんにちは!エスです。

 

宇多田ヒカルの「First Love」を聴いたときに「ボーカルと楽曲の距離感が良くって、心が落ち着くな」と感じたことはありますか?

KENWOOD GLASS Core Proで「First Love」のような楽曲を聴いたとき、僕はまさにその感覚を覚えました。何かちょうどいい音。ボーカルも高音も低音も、うるさくならずにちょうどいい。

 

KENWOODはワイヤレスイヤホンで業界初となるガラス振動板を採用。MEMSドライバーとの2way構成で、それぞれに専用のアンプを用意したバイアンプ仕様で音楽を奏でます。

GLASS Core Proはクリアで芯のある音でした。

 

今回は、音質・装着感・機能性を含めて、GLASS Core Proの魅力をわかりやすく紹介していきます。

 

はじめに

結論から言うと、GLASS Core Proは楽曲を選ぶイヤホンでした。スローな曲や90年代J-Popとの相性は抜群ですが、バンドサウンドのように音数が多くなると少し苦手になります。自分がよく聴く音楽と照らし合わせながら読んでみてください。

 

最初、ガラス振動板と聞いてキレキレの高音が出るイメージを勝手に持っていたんですが、実際に音を聴いてみると、キレはありつつも全体がタイトにまとまっていて、思っていたよりずっと聴きやすい音でした。

一番驚いたのは、そのなじむ感覚です。高音が主張しすぎず、低音が締まって邪魔をしない。音楽がすっと入ってくる心地よさがありました。

 

ただ、気になったことがあって。音場の狭さと音の張り付き感です。音の解像感はあるのに立体的に広がっていかない。そのあたりも含めて詳しく見ていきます。

 

 

GLASS Core Proの仕様と特徴

仕様

愛称

GLASS Core Pro

型名

KH-CRZ100T

種類

密閉タイプ

ドライバーユニット

口径10mm ガラス振動板 + MEMSドライバー(2way・バイアンプ方式)

通信方式 / 出力

Bluetooth® Ver.6.0 / Power Class 1

対応コーデック

SBC / AAC / LDAC

対応コンテンツ保護

SCMS-T方式

ノイズキャンセリング

アダプティブNC、ウインドカット機能搭載

電池持続時間(NC OFF

イヤホン:最大14.5時間/ケース込み:最大49時間

電池持続時間(NC ON

イヤホン:最大12時間/ケース込み:最大40.5時間

充電時間

イヤホン:約1.5時間/充電ケース:約2.5時間

クイック充電

3分の充電で最大50分再生

充電方式

USB-C/ワイヤレス充電対応

質量

イヤホン(片耳):6.7g/充電ケース:58.4g

防滴性能

IPX4(イヤホン本体のみ)

サウンドモード

8

独自機能

パーソナライズサウンド、空間オーディオ(EXOFIELD技術活用)、K2テクノロジー、AI通話ノイズリダクション

マルチポイント

2台同時接続対応

その他機能

外音取り込みモード、イヤホン探索機能、左右片耳使用可、低遅延モード、Fast Pair対応

付属品

イヤーピース S/MS/M/ML/L 2個、充電用USBケーブル、充電ケース

価格(税込)

¥49,940

 

GLASS Core Proの特徴

まずはGLASS Core Proの特徴をざっくりまとめると、こんな感じです。

  • ワイヤレスイヤホンで業界初のガラス振動板を採用
  • MEMSドライバーと組み合わせた2wayかつバイアンプ仕様
  • 高性能なノイズキャンセリング
  • 最大合計49時間の長時間再生
  • 2台のマルチポイント対応

スペックだけを見ると高音域に特徴がある音を期待しますが、実際に使ってみると、全体のバランスを意識したチューニングだと感じました。

 

デザイン・外観

ガラスの特徴をイヤホンに落とし込んだデザイン

まず見た目ですが、洗練されたデザインで高級感があります。

 

ガラスをコンセプトに、イヤホンとケースが統一感のあるデザインに仕上がっています。反射が美しく、イヤホン本体は二重ガラスのような構造でガラスの良さがデザインにも活かされています。

野暮ったくなく、くどさがない。実際に手に取ると、高級感とクールなかっこよさが際立ち、持っているだけで気分が上がるタイプのイヤホンだと感じました。

 

ただ、ケースが大きめでポケット運用する方は注意が必要です。まず入りません。

 

音だけでなく、ガラスの見た目にもこだわりたい方にはうれしいポイントだと思います。

 

装着感

装着感は良いです。

 

滑りにくいグリップ力のある素材とコンパクトな形状により、耳の奥まで入れなくてもしっかりとフィットします。挿入感が苦手な人、耳からイヤホンが抜けやすいといった人にも安定した装着性が得られます。

少し大きいサイズ感だが装着性は良好でした

私の場合、滑らかなイヤーピースが好みのためSednaEarfit MAXに変更しました。このイヤーピースでもケースに収めることができました。

 

耳との一体感により長時間つけていても疲れにくく、普段使いしやすいイヤホンだと思います。歩いても安定しているので、外でも耳から落ちにくい安心感があります。

 

逆に、耳の形によっては大きく感じるかもしれません。ここは相性が出るので、可能なら試着してみてください。

 

音質レビュー

第一印象

音を聴いて最初に感じたのは、クリア感です。低音のタイトさによりスッキリした中高音がはっきり聴こえてきます。

ひとことで言えば、タイトでクッキリした音のイヤホンでした。この音の整い方は、ガラス振動板の特性が出ているなと感じます。

 

ガラス振動板は内部損失が少なく音の立ち上がりが速い。だから一音一音はクリアに出る。ただ、音場を広げる設計とは別の話で、ここがこのイヤホンの個性でもあり制約でもある。

技術的なことは詳しくはないけど、ガラス振動板には「素材自体が発する不要な響きが少なく、楽器やボーカル本来のディテールを忠実に再現する」という特徴。

これを読んで気づいたのは、これまで使ってきたワイヤレスイヤホンの広がりや余韻は、素材が発する響きによってつくられていた部分もあったのかもしれないなということ。ガラスはその余韻を排除するぶん音はクリアになる。

でも逆に言えば、その余韻こそが広がりを感じさせていた可能性がありそう。

 

音質は?

低音

締まりのある低音

低音の特徴は、締まりです。

しっかり出ているのに膨らみすぎず、聴いていて心地よさがあります。引き締まった低音なので、伸びや広がりよりも音の芯が際立ちます。

 

ビリーアイリッシュ「bad guy」では、サブベースで空間を揺らす方向ではなく、タイトな低音が中高音をしっかり支えている印象でした。

L'Arc〜en〜Ciel「Driver's High」では、この締まりのある音がベースラインを非常に追いやすくしてくれました。tetsuyaのベースを意識して聴いていると、ベースが頭の中でメロディを支えているような感覚に自然と引き込まれていました。

 

「低音の伸びや広がりが好き」という方には少し物足りなさを感じるかもしれません。ただ、タイトな低音好きには満足感がありつつ、全体のバランスも崩しにくい仕上がりです。

 

中音

中音は、特にボーカルの声が印象的でした。

ボーカルの距離感は自然で、歌声を気持ちよく楽しみやすいタイプです。

 

Official髭男dism「Pretender」では、ボーカルと楽器の密度が高い楽曲ですが、ボーカルは楽器より少し前に位置して、埋もれることなくハッキリ聴こえます。

宇多田ヒカル「First Love」では、ボーカルの透明感とブレス、アコースティックギターのメロディとフィンガーノイズが心地よく楽しめました。

 

ただ、ボーカルが点ではなく左右に広がって聴こえることがあり、定位の捉え方は評価が分かれそうです。milet「The Story of Us」では楽器が張り付くように感じる場面もあり、音離れの甘さが気になりました。

 

透明感のあるボーカルとの相性が特に良いと感じました。

 

高音

高音は明るく、キラキラした印象です。

シンバルやストリングスの鳴り方はハッキリ聴こえますが、高音が強すぎて刺さる感じは少ないです。

 

GLAY「BETTY BLUE」では、クラッシュシンバルのシャーンとした広がりとハイハットのシャカシャカがキレのある音として楽しめます。もう少しシンバルの伸びは欲しいとは思いましたが、楽曲のアクセントとしてバランスよく機能していました。

凛として時雨「abnormalize」は、ハイトーンボーカルとジャギジャギしたギターが特徴的な楽曲ですが、案外キツくならずに楽しめました。うまくチューニングされているな、と感じました。

 

長時間聴いても疲れにくいチューニングだと感じました。ただ、もっとギラつかせて攻めてほしいと感じてしまったのも事実で、高音に刺激を求める方には少し物足りないかもしれません。

 

音場・定位感・分離感

音場は狭いです。

 

上方向への広がりはありましたが、左右と奥行きの広がりは物足りません。シンバルの響きは頭の上に抜けていく感覚があって、狭さのわりに圧迫感を感じにくいのは好印象でした。

 

楽器の音離れが少し悪く、音数が多い場面では音が団子になって立体感が薄れます。音数が少ない楽曲ではスッキリした音質から見通しが良くて気持ちよさがありますが、音数が増えるほどこのイヤホンの良さが活きにくくなると感じました。

 

どんなジャンルと相性がいい?

宇多田ヒカルがとても良かった。聴いてみてください

相性が良いと感じたのは、音数が少ない楽曲です。

特に90年代J-Popでは、音圧がそれほど高くなくボーカルが前に出てくるため、このイヤホンの良さがわかりやすく出ます。

 

宇多田ヒカル「Automatic」や「First Love」のボーカルと低音の締まり、GLAYの「Yes, Summerdays」では左右のツインギターがしっかり広がって迫力があり、非常に楽しめました。90年代J-Popを中心に楽しみたい方には、個人的にかなり使いやすいと思います。

 

宇多田ヒカルもGLAYも、ベテランだけあってそのアーティストしか聴かない、というファンが多いと思う。僕も昔はGLAYしか聴かなかった。そういう人にとって「どんな音楽でもバランスよく鳴らしたい」はあまり関係なくて、好きな音楽がより気持ちよく聴けるかどうかの方がずっと大事。

GLASS Core Proは万能ではないけど、この時間を大事にしたい人には、相性のいいイヤホンだと思います。

 

ノイズキャンセリング

ノイズキャンセリングは十分だと感じます。ただ、スペックでは「世界最高クラス」と謳われていて期待値が上がっていたのですが、実際に使ってみると少し印象が違いました。

 

スピーカーから大きめの音でYouTubeの電車内の音を出して確認しました。ゴーとなる騒音は抑えられます。線路の繋ぎめのゴトゴトする音は抑えられますが聞こえてきます。人の声はよく聞こえてくる状態です。

これはSONYなどと同じく、低音域は抑えられて中音域は聞こえやすくなっている印象です。

 

AirPods Pro 3と比べると、AirPods Pro 3の方がだいぶ静かに感じました。人の声がはっきり聞こえてくる分、静かさの差を聴覚的に感じてしまいます。

 

完全に無音になるというよりは、日常のノイズをしっかり和らげてくれるタイプです。圧迫感もそれほどないので、普段使いでは十分に助かる場面が多いと思います。

 

外音取り込み

外音取り込みは優秀です。

 

イヤホンをしているとは思えないほど自然な聴こえ方で、駅のアナウンスはもちろん、人との会話でも相手の言葉がわかりにくいといったことはありませんでした。キーボードの打鍵音なども自然に入ってくるので、在宅ワーク中にそのまま使い続けやすいと感じました。

ただ、自分の声にはノイズキャンセリングの影響を受けた違和感がありました。

 

電車通勤など日常使いにはしやすい仕上がりだと感じました。

 

操作性・接続性・アプリ・バッテリー持ちは?

操作性・接続性・アプリ

操作感は良いです。

ボタン操作の反応も良く押しやすいため、普段使いで大きな不満は出にくいと思います。

 

物理ボタンのメリットが活かされていて、操作項目が5回連続押しまで割り当てられています。タッチ操作では5回連続は絶対に無理。スマートフォンを使わずにイヤホンだけで操作を完結させたい人には、唯一無二ともいえる仕様です。色々なワイヤレスイヤホンを使ってきましたが、5回連続押しは初めてかもしれません。

ケースは大きいので持ち歩きはカバンが欲しい

音楽を聴きながら散歩をするんですが、物理ボタンだから立ち止まることなくスムーズに操作ができてストレスにならないんです。気分転換に散歩しているのに、操作でストレスを感じることは本末転倒ですもんね。

 

アプリもEQ・モード切替・タッチカスタマイズ・マルチポイントなど、必要な機能はしっかり揃っています。パーソナライズサウンドも設定できます。

 

ただ、Spotifyをお使いの方は注意が必要です。KENWOODはカーナビのイメージが強いためか、Spotifyを開くと強制的にカーモードになり、アプリが自動で再生を始めます。びっくりするんですよね。サポートには連絡済みなので、対応を待ちたいところです。

 

バッテリー持ち

バッテリー持ちは長いです。

Spotifyを2時間再生してバッテリー持ちを確認しました。

バッテリー持ちは非常に良い

使用条件

  • iPhone 17 Pro(AAC接続)
  • トップ50-日本
  • パーソナライズサウンド:ON
  • サウンドモード:FLAT

結果

  • 1時間:L-100% R-100%
  • 2時間:L-97% R-93%

左右差はありましたが、2時間で10%も消費していません。非常に優秀だと感じます。

長距離移動でも十分だと思います。通勤・通学や普段使いが中心なら、バッテリーで不満が出ることはほぼないでしょう。

 

SOUNDPEATS Air5 Pro Plusと比べてどう?

価格帯が異なるため優劣の比較ではなく、音の方向性の違いとして参考にしてください。同じMEMSドライバーを搭載したAir5 Pro Plusと比べると、GLASS Core ProはMEMSとの一体感ある高音が魅力です。

 

一方でAir5 Pro Plusは広い音場と温かみのある低音があるので、どちらが良いかは何を重視するかで変わってきます。音の方向性は正反対です。

  • GLASS Core Proが向いている人:スッキリしたバランスの良い音
  • Air5 Pro Plusが向いている人:ピラミッドバランスの温かみのある音

という考え方で選ぶと、どちらを選ぶべきかが見えてきます。

 

GLASS Core Proの良かったところ気になったところ

良かったところ

実際に使って「これは良いな」と感じたところを挙げます。

  • キレのある高音
  • 物理ボタンによる操作性
  • 日常使いで十分なノイズキャンセリングと優秀な外音取り込み
  • 外観と操作感の質感の高さ

特にキレのある音と質感の高さは、このイヤホンの満足感につながる大きなポイントでした。

気になったところ

使っていて気になった部分も書いておきます。

  • 音離れの悪さ(音数が増えると特に目立つ)
  • ケースのサイズが大きい
  • Spotifyではカーモードになる

Spotifyをお使いの方は、アプリを開いた瞬間に再生が始まるので気をつけてください。

 

こんな人におすすめ

GLASS Core Proは、こんな人におすすめです。

  • 高音のキレやクールな音が好みの人
  • 高級感あるガラスデザインが気になった人
  • 長時間再生で移動中もしっかり使いたい人
  • イヤホンの操作を物理ボタンで確実に行いたい人

逆に、

  • 持ち運びをコンパクトにしたい人
  • 音場の広さや立体感を重視する人

こういった方は、別のモデルの方が合う可能性があります。

 

まとめ

90年代J-Popとても楽しめました

GLASS Core Proは、業界初の技術と洗練されたデザイン、圧倒的なバッテリー持ちを一台にまとめた、所有欲と実用性が両立したイヤホンでした。

 

音はタイトでクッキリ。ガラス振動板らしいキレがあり、低音もしっかり締まっています。特に90年代J-Popのような、音数が少なくボーカルが際立つ楽曲では、この音の素直さが活きて気持ちよく楽しめます。

 

ただ、音場の狭さと音離れの甘さは気になるポイントでした。とはいえ、GLAYのようなツインギターでは左右のギターの迫力がしっかり伝わって、これはこれで楽しめました。音数が増えすぎると立体感が薄れやすいですが、ギターの左右の広がりは感じられます。「楽曲を選ぶイヤホン」という印象は、最後まで変わりませんでした。

 

音質だけで5万円を判断するなら、少し迷うと思います。でもデザインの所有感、物理ボタンの操作性、49時間のバッテリー、その全部をひっくるめてこの価格と考えると、納得できる人には納得できる一台だと感じました。デザインは高価格帯のブランドに並べても見劣りしないと思えるほど洗練されていて、長期間持ち続けることにも納得できます。ただ、ケースだけは本体のデザインから少し落ちる印象でした。

 

GLASS Core Proを使い始めから平成のJ-Popをよく聴くようになりました。あの頃は小さかった自分が背伸びして大人の恋愛なんかの歌詞を覚えて口ずさんでいましたが、今歌詞を見ながら聴いてみると「子供では到底理解できなかっただろうな」と苦笑しながらそんなことを考えています。懐かしさとエモさで音楽を聴く時間が少し増えて、音楽って時間を超えて楽しめるものだと、GLASS Core Proを通して改めて気づきました。

 

宇多田ヒカルやGLAYのあの頃の音楽を、ちょうどいい音量で静かに楽しみたい方には、そっとおすすめしたい一台です。

 

 

Moondrop Old Fashioned レビュー|あの頃の音楽が、また聴きたくなるヘッドホン

Moondrop Old Fashioned

こんにちは!エスです。

 

レトロなものを見ると「あの頃の音楽を、もう一度聴いてみたいな」そんな気持ちになった経験はありませんか?

特に学生の頃に音楽をよく聴いていた方は、雰囲気に引き込まれて、記憶の中から好きな音楽が流れ出してきますよね。

 

最新のイヤホンやヘッドホンでも、Spotifyなどの音楽サブスクを使えば、当時よく聴いていた音楽を1分もかからず楽しむことができます。

ただ、レトロな外観のイヤホンやヘッドホンを通して聴くと、「あの曲、よく聴いたなぁ」と懐かしい気持ちや当時の風景まで記憶と一緒によみがえって、雰囲気ごと楽しめるんです。

 

今回紹介するヘッドホンは『Moondrop Old Fashioned』のUSB-C版。

 

外観がレトロなので「デザインだけかな?」と思いきや、音はクリア。「見た目で買ったけど結局飽きた」みたいな心配もなく、音質も良くて長く楽しめるヘッドホンでした。

実際に使ってみて感じた、音質・装着感・機能性を含めて、わかりやすくレビューしていきます。

 

はじめに

結論から言うと、Old Fashionedは見た目で買って、音で残るヘッドホンでした。

正直、最初は「デザインが全てで音は二の次かな」と思っていたんです。でも実際に音を鳴らしたとき、その印象は大きく崩れました。一番驚いたのは中高音のクリアさで、このレトロな見た目からこの音が出るのかと感じました。

 

音漏れがあるので聴く場所は選びますが、そのあたりも含めて書いていきます。

 

Old Fashionedの特徴

まずはOld Fashioned USB-C版の主な特徴を簡単にまとめます。

 

  • 40mm径の大型ダイナミックドライバーを搭載、3層構造の複合振動板を採用
  • 独自開発のオープン音響構造
  • DF-HRTF特性に忠実な周波数レスポンスを実現
  • 内蔵DSPによる精密な音響補正と、32bit/384kHzのハイレゾデコードに対応
  • 透明プラスチックのイヤーカップとメタル製テレスコピックヘッドバンド

 

デザインだけ見ると音は二の次かな?って感じですが、特徴からも音に抜かりのない構造となっています。

実際に使ってみるとクリアさと解像感があって、しっかり音楽を楽しめることが見えてきました。

 

スペック表

項目 内容
型番 MD-HP-032
タイプ オンイヤー型/開放型(オープンバック)
ドライバー 40mm ダイナミックドライバー(3層構造の剛柔複合振動板)
周波数特性 20Hz〜32kHz(IEC61094, Free Field)
有効周波数特性 20Hz〜20kHz(IEC60318-4, -3dB)
インピーダンス 32Ω ±15%(@1kHz)
感度 109dB/Vrms(@1kHz)
全高調波歪率(THD) 0.2%以下(@94dB, 1kHz)
接続端子 0.78mm 2pin(リケーブル対応)
ケーブル USB-C(約1.2m/マイク・インラインリモコン付き)
対応音源 最大32bit/384kHz(内蔵DAC・DSP、UAC対応)
アプリ MOONDROP App(パラメトリックEQ対応)
その他 テレスコピックヘッドバンド/マルチアクシス・スイベル構造/イヤーカップ・ヘッドバンド着脱可能
販売価格 4,680円(3.5mmプラグ版) / 5,940円(USB-C版)

今回はUSB-C版を使用していますが、3.5mmプラグ版も販売されています。

 

デザインと装着性

デザイン・外観

オレンジの色味がどこか懐かしい

まず目に入るのがデザインです。

 

プラスチックのイヤーカップと金属のヘッドバンドがレトロ感を演出。素材をシンプルに使っていて、「お金かかってないなぁ」と誰が見てもわかる感じなんですが、それを逆手にとったMOONDROPのセンスが光っていて、「これがいいんだよな」と思わせてくれます。

イヤーパッドはスポンジで、レトロ感てんこ盛りのトータルコーディネート。プラスチックと金属の掛け合わせが新鮮で、印象に残るデザインです。

 

プラスチックのイヤーカップには、目を惹くMOONDROPのオレンジのロゴ。勝手なイメージですが、このオレンジの色味は、どこか平成初期の懐かしさを思わせます。

 

実際に手に取ってみると、どこか懐かしい素材と配色の親しみやすさがレトロな平成初期の空気感を思わせて、所有欲を刺激されました。

見た目重視で選びたい方にも、しっかり刺さるデザインだと思います。

 

装着感

Old Fashionedは、耳の上に乗せるオンイヤー型になります。

 

耳を覆うオーバーイヤー型とは違い、耳の上に置く装着になるので、人によっては安定する位置を探す必要があるかもしれません。

ただ、装着が決まると「すごく軽い!」とびっくりしました。今まではオーバーイヤー型ばかり使っていたので、こんなに軽いヘッドホンがあるんだと感心しました。

 

実際に1時間程度使用しましたが、この軽さのおかげで、長時間の装着でも首が疲れることはなかったです。

軽い装着感なので、ギュッと挟まれている感じもあまりなく、長時間のヘッドホンで頭が痛くなりやすい人にもおすすめできます。

 

あと、この締め付けの緩さのおかげで、ヘッドホンで髪型が崩れるのが気になる方にもおすすめ。髪をセットした後でもクシャッとなりにくく、気軽に楽しめます。

 

歩行時には問題ない装着ですが、僕の場合は下を向くとズレます。軽い装着感なので仕方がないところですね。ここは人によって好みが分かれるかもしれません。

 

音質レビュー

第一印象

音を聴いてまず感じたのは、思った以上にクリアな音質でした。見た目のレトロ感から温かみのある音なのかと思いきや、高音域がスッキリしたサウンドです。

解像感はそこそこですが、中高音の迫力が音に勢いを出しているようです。

 

Old Fashionedは、中高音域の迫力を楽しめるという表現がしっくりきます。

 

楽曲に合わせて音域をチェックしました

低音

低音はタイトさが特徴です。下に伸びる響きや深さは、そこまでありません。

 

ただ、ビリーアイリッシュ「bad guy」では、少し前に出てくる低音のアタックを感じられます。振動板がよく動き、低域の塊が耳に飛んでくるような感覚で、しっかり存在感がありました。

L'Arc〜en〜Ciel「HEAVEN'S DRIVE」では、しっかりとベースラインを追える低域が出ています。

ですが、ビリーアイリッシュ「bury a friend」のサブベースは、ズンと沈むような量感まではありませんでした。

 

開放型なので、深さや量感を味わうというより、気持ちよく抜けていく低音だと思いました。キックやベースは塊感のある振動が「ドンドンっ」と耳に当たり、そのリズムで音楽に乗れるほど楽しめました。

 

中音

中音は、特に女性ボーカルの攻め具合が印象的です。

 

ボーカルの距離感は適度にあります。声にはハリがあって、しっかりと向かってきます。

Every Little Thing「Time goes by」の高音へと伸びるボーカルは、割れることも破綻することもなく、ギリギリのところまで出し切っています。

エレキギターはよりアグレッシブで音の勢いがあり、ボーカルより半歩ほど前に感じました。

the brilliant green「There will be love there -愛のある場所-」を聴くと、エッジの効いたエレキギターが気持ちよく、歪ませた音でも一音一音がかなり力強く聴こえます。

 

中音域はキツくなりそうでならない、ギリギリを攻めた音。ボーカルやギターの存在感は大きく、熱を感じる鳴り方でした。特に女性ボーカルのキーの高い声は、破綻なく高いところまでしっかり伸びるので、聴き応えがあります。

 

高音

高音はシャープな印象です。

 

力強く上に伸びる開放感が特徴です。

GLAY「BETTY BLUE」では、シンバルの力強さがバンドサウンドを引っ張っているようです。音楽に明るさと抜け感を与えていました。

先ほどのEvery Little Thing「Time goes by」も、サビで重なるキーボードの高音がキラッと前に出てきて、この高域のシャープさがよくわかります。

力強さはありますが、刺さることもなく音楽を楽しめました。

 

ただ、高音が強いので、楽曲によっては長時間聴くと疲れるかもしれないと感じました。少し音量を調整して、穏やかに感じるポイントを探すといいかもしれません。

中高音域の音に勢いがありました

 

音場・定位感・分離感

音場は縦に広い印象です。

左右は狭いと感じますが、開放型のためか窮屈さはありません。

奥行きはもう少しあればと思いました。

 

定位感は普通ですが、ボーカルや楽器の位置関係はつかみやすく感じました。分離感も、音が重なりすぎず、J-Popとの相性が良いです。

 

音を分析的に楽しむというよりは、気持ちよく音楽に浸れるタイプだと思います。

 

どんなジャンルと相性がいいか

相性が良いと感じたのは、やっぱりJ-Pop。

 

中音域の熱い90年代後半のJ-Popは、とても楽しめました。この時代は音数がそれほど多くないため、Old Fashionedの中高音域の勢いがスパイスとして、いい感じにマッチしています。

 

もうずっと聴いていられるくらい、懐かしさと思い出に浸っていられます。

 

遮音性・音漏れ

Old Fashionedは開放型なので、基本的に遮音はしません。装着していても周りの音は普通に聞こえてきますし、その分こちらの音も外に漏れます。

 

家でリラックスして聴くぶんには、外の気配がわかる開放感がむしろ心地よいのですが、電車やカフェなど静かな場所では使えません。聴いている楽曲がそのまま外に音漏れしますので、聴く環境はある程度選ぶ一台です。

 

操作性・アプリ

USB-C版は簡易的なリモコンで操作することができます

USB-C版では、右のケーブルに音量と再生停止ボタンがあり、スマートフォンなどと接続しても単独で簡易的な操作ができます。

 

また、Moondropアプリにも対応していて、イコライザー調整ができるようになっています。より好みの音へ調整してみるのも面白いと思います。

 

なお、Androidタブレットで使ったときは、最初に音量に関する警告が表示されて、そこで音量が頭打ちになっていました。「音量が足りないかも?」と一瞬思ったのですが、ほぼ最大近くまで上げてみると、しっかり音量は確保できました。端末によっては、こうした音量制限の挙動があるかもしれないので、頭の片隅に置いておくといいかもしれません。

 

良かった気になったところ

良かったところ

Old Fashionedの良かった点はこちらです。

  • レトロテイストなデザイン
  • 中高音域に勢いがある音
  • とても軽いので装着感が良い
  • USB-C版はスマートフォンの充電端子に接続するだけで音楽を楽しめる
  • リケーブルできるので、音の変化を楽しめる拡張性

特にデザインは、「音楽を聴いてみたい」と思わせる満足感につながりやすいポイントでした。

気になったところ

一方で、気になった点はこちらです。

  • 軽すぎるので、安定した装着を決めるのが難しいかも
  • 下を向くとズレる
  • 開放型なので音漏れがある

大きな欠点というよりは、装着が決まるまで安定性に欠けるという部分です。

装着が安定すれば、満足度はかなり高いと思います。

 

Old Fashionedはこんな人におすすめ

細部までシンプルにレトロ感を味わうことができました

Old Fashionedは、こんな人におすすめです。

  • レトロな外観で、雰囲気までも楽しみたい人
  • 力強い高音が好きな人
  • 機会があれば、昔聴いていた音楽を聴いてみたい人
  • 軽い装着のヘッドホンを探している人

逆に、

  • 音漏れが気になる環境の人
  • 温かみのある音が好きな人

こういった方は、別モデルのほうが満足しやすいかもしれません。

 

まとめ

Old Fashionedは、レトロな外観とクリアな音質を両立したヘッドホンでした。

 

見た目だけのイロモノかと思いきや、中高音域に勢いのある音で、しっかり音楽を楽しませてくれます。とにかく軽くて、長時間つけていても首や頭が疲れにくいのも嬉しいポイント。USB-C版なら、スマホに挿すだけでドングルもアンプもいらずにこの音が出てくるお手軽さも魅力です。

 

開放型なので音漏れがあり、聴く場所は選びます。低音の深さや量感を求める人には、少し物足りなく感じるかもしれません。それでも、透明なイヤーカップにオレンジのロゴという佇まいを眺めているだけで、「あの頃よく聴いたあの曲、もう一度聴いてみようかな」という気持ちにさせてくれる、そんな一台です。

 

スペックや解像感を突き詰めるためのヘッドホンではなく、音楽そのものに気持ちよく浸るためのヘッドホン。学生の頃の風景ごと音楽を呼び戻したい人に、そっとおすすめしたいモデルでした。

 

最新の価格・在庫はリンク先でどうぞ。

e☆イヤホンで見る

SONY WF-1000XM6 と Apple AirPods Pro 3を比較 - 音を聴くか、音楽に浸るか

AirPods Pro 3とWF-1000XM6の音を比べてみました

こんにちは!エスです。

 

iPhoneユーザーの方が完全ワイヤレスイヤホンを選ぶときに候補に挙げるのが、Apple AirPods Pro 3とSONY WF-1000XM6の2機種だと思います。

iPhoneと組み合わせるならやっぱりAirPods Pro 3?それとも音質がいいと聞くSONY?と悩ましいですよね。

 

2つのワイヤレスイヤホンを聴き比べてみると、

・楽器とボーカルのバランスが心地よいWF-1000XM6

・ボーカルと楽器の一体感が楽しめるAirPods Pro 3

このように、楽曲に対する印象が違いました。

 

比べてみるとどちらも素晴らしい音楽を聴かせてくれます。同じ楽曲を聴いても感じ方が違うからこそ、自分の好みが見えてくる。それが今回両機種を聴き比べていて、一番面白かったところでした。

 

この記事では、いくつかの楽曲を聴き比べながら、両機種それぞれの個性を見ていきます。最後には、あなたが今聴きたいのはどちらの音楽体験か、自然と見えてくるはずです。

 

「同じ曲なのに、こんなに違うんだ」

米津玄師の「IRIS OUT」を聴き比べたとき、「こんなにも違いがあったんだ」とびっくりしてしまった自分がいました。

 

オープニングのキックとシンバルとコーラスが一気にバンッと鳴り出す、あの数秒。同じ音源、同じiPhone、コーデックも同じAACなのに、まったく別物に聞こえたんです。

WF-1000XM6は、音楽がバランスよく脳内に広がって、スッと耳に馴染んでいくスタート。 AirPods Pro 3は、シンバルがシャーンと響いて派手な演出、「今から始まるぞ!」とアガるスタート。

 

同じ曲なのに、なんでこんなに違うのかな。 そう考えながら、しばらく両方を聴き比べていました。

 

好きな音で選ぶ、ということ - 今回の試聴環境

音質も進化した3代目AirPods Pro

iPhoneを使っていると、ワイヤレスイヤホンの候補は自然とAirPodsに向かいやすいですよね。Appleユーザーのための動線ができていて、迷わず選べる安心感があります。

 

ただ、音楽を心の底から楽しむためには、決められたイヤホンを使うことではなく、自分が好きな音のイヤホンを選ぶこと、それが一番大事なんじゃないかなと思っています。だから今回は、WF-1000XM6もしっかり同じ土俵で比べてみたかったんです。

 

この記事では、両機種を公平に比較するために、BluetoothコーデックをAACに揃えて聴き比べました。AirPods Pro 3はAACのみの対応なので、WF-1000XM6側もAAC接続にすることで、同じ条件での比較にしています。

 

 

なお、WF-1000XM6はLDACにも対応しているので、その違いについては記事の後半で簡単に触れています。

 

WF-1000XM6で聴く音楽は、空間にある

WF-1000XM6を聴いていると、ゆったりとした時間が流れるように音が広がっていきます。これは単純に音場感が広いということではなくて、今聴いている楽曲が頭の中に自然と入ってくるような、そんな心地よさがあるから。

 

解像感も高く、楽器の分離もきれい。そして何より、低域から高域までのバランスが心地よくて、好きなアーティストの楽曲をもっと聴きたいと思ってしまうほど。

特に今のJ-Popやアニソンは音数が多くて、好きな音楽を聴いているはずが頭の中でいろんな音がゴチャゴチャしてくることがあります。「もっと聴きたいけど今日はもうやめとこ」と、耳が疲れてしまう日も。

 

そんな時こそ、WF-1000XM6のバランスの良い音質がいきてくる。 音楽を「聴く」じゃなくて「浸る」ためのイヤホン、と言ってもいいかもしれません。

 

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AirPods Pro 3で聴く音楽は、目の前にある

AirPods Pro 3で音楽を聴いてみると、少し体が動いてしまいそう、と感じる躍動感がありました。

 

ただノリのいい曲だからというわけではなくて、高音域と低音域のメリハリと、前へ出てくる音そのものに自然と体が動いてしまうんです。WF-1000XM6が音楽を頭の中に「広げる」のに対して、AirPods Pro 3は音楽を顔の前に「押し出してくる」感覚。ボーカルと楽器が分離するのではなく、一体となってグワッと音楽の熱量で飛び込んでくるから、無意識に体がノってしまう。

 

遊びに行く前とか、テンションを上げたいなと思ったときや、今日はいいことがあったなと気分がいいとき。そんな日には、ノリのいい曲とAirPods Pro 3でもっとアゲて、次へ向けられる楽しさがあります。

 

音楽を「浸る」ためのWF-1000XM6に対して、AirPods Pro 3は音楽と一緒に「動く」ためのイヤホン。 同じ曲なのに、こんなにも気分の連れて行き方が違うんだな、と思いました。

 

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ボーカルの「聴き取りやすさ」は、種類が違う

サウンドエンジニアとの共創による音質

Billie Eilishの「WILDFLOWER」を両方で聴いていて、ボーカルの「色」がわずかに違うことに気付きました。彼女の声の明るさと暗さ、その表情に少しだけ違いがあるんです。

 

WF-1000XM6で聴くと、彼女の声は少し抑え気味で、しっとりとした暗さを感じます。なめらかに歌う声がバックコーラスと自然に溶け合って、空間の広がりまで感じられました。

AirPods Pro 3では、彼女の声に少し張りと明るさが加わって、印象がぐっと変わります。存在感のあるボーカルがバックコーラスを引っ張るように、楽曲全体を引っ張っていく強さを感じました。

 

 

もう一曲、GLAYの「HOWEVER」でも聴き比べてみました。こちらはボーカルと楽器の聴かせ方の違いがよりはっきり出ていました。

 

WF-1000XM6は、ボーカルにも楽器にも均等にスポットライトが当たって、全体をバランスよく聴かせてくれます。AirPods Pro 3は、ボーカルにスポットライトが当たって、楽器がその勢いを後ろから押し上げてくる。同じ曲なのに、主役の見え方が違うんです。

 

「ボーカルが聴き取りやすい」と言っても、その聴き取りやすさには種類がある。 表現の奥行きで聴かせるWF-1000XM6、存在感で聴かせるAirPods Pro 3。 どちらが正解、ということではなく、そのボーカリストのどの表情を聴きたいかで選ぶイヤホン、と言えるかもしれません。

 

低域・高域 - 細部に宿る個性

章2で米津玄師の「IRIS OUT」を聴いたとき、冒頭のキック・シンバル・コーラスが鳴り出した数秒に違いを感じた、と書きました。改めて低域と高域に絞って聴き直してみると、アニメの演奏シーンが頭に浮かんできたんです。

 

WF-1000XM6で聴くと、楽曲のパートを一歩引いた視点で味わえる感覚があります。低域は、サブベースの量感がうねりとなって広がりながら、音場の広さに溶け込んでいく。高域のシンバルやピアノは、低音に埋もれることなく主張を保ちながら、全体のバランスの中に収まっています。アニメで言うなら、ひとつの画面の中に楽器パートのカット割があって、それぞれの見せ場をしっかり押さえているような演出。

 

AirPods Pro 3では、ドラムのキックが勢いそのまま頭の中を叩いてくる。脳を揺らそうかと、前へ前へと音が出てくるんです。シンバルやピアノも力強く一直線に前へと叩き出されて、まるで自分に向けた音のシャワーを浴びたよう。こちらのアニメは、ひと画面に全員が映って、バンド全体で一気に演奏しているワンショットのようなイメージでした。

 

同じ曲、同じ場面なのに、見せ方がここまで違う。 カット割で聴かせるWF-1000XM6、ワンショットで聴かせるAirPods Pro 3。低音と高音の鳴り方の違いが、そのまま演奏シーンの演出の違いになって聴こえてきます。

 

4曲で聴き比べる - 静かなバラードから、低音が主役の曲まで

どっちがいいじゃなくて個性が光っていました

WF-1000XM6とAirPods Pro 3、ここまで方向性の違いを書いてきましたが、実際に色んな曲で聴き比べてみると、これがまた面白いんです。

 

静かなバラードからロック、ボーカルが主役の曲、低音が主役の曲。曲のジャンルが変わると、両機種の見せ方も大きく変わっていきます。今回は4曲を取り上げて、それぞれの曲で両機種がどう聴こえたかを書いてみました。気になる曲があったら、ぜひ自分の耳でも聴き比べてみてください。

 

米津玄師「Lemon」

ピアノとボーカルから始まる静かな楽曲。一見すると派手な低音はなさそうな曲ですが、聴き比べてみると、機種差は中低音の量感に現れていました。

 

WF-1000XM6で聴くと、ボーカルに寄り添うようにベースが支えていることが伝わってきます。ストリングスもボーカルと温度差なく溶け合って、楽曲全体の感情がひとつの塊として届いてくる。

AirPods Pro 3では中低音の量感はそこまで感じませんが、そのぶん静けさのあるボーカルの熱が引き立ってきます。声がまっすぐ前に立って、米津玄師の感情がダイレクトに伝わってくる。

 

Lemonの世界に浸りたいならWF-1000XM6、米津玄師のボーカルの熱を感じたいならAirPods Pro 3。 静かな曲ほど、機種の個性がはっきり出る一曲でした。

 

GLAY「BETTY BLUE」

クラッシュシンバルから始まる力強い楽曲。突き抜けるシンバルの高音と残響感が気持ちいい曲ですが、聴き比べると、ギターやベースの温度感とスピード感に違いがありました。

 

WF-1000XM6では、楽器の熱量がやや暖色傾向で、ギターのメロディが伸びやかに、ベースの重さが楽曲に重厚感を与えてくれます。バンドのアンサンブルがそのまま立ち上がってくるような演奏に聴こえました。

AirPods Pro 3ではシンバルのキレが楽曲の鋭さとなり、勢いをそのままにテンポを早めているように感じます。エッジの効いたギターとタイトなベースもあって、若々しいロックのように響いてきました。

 

WF-1000XM6は安心感のあるロック、AirPods Pro 3は鋭さのあるロック。 同じ曲でも、こんなにロックの印象が変わるんだと思った一曲でした。

 

milet「The Story of Us」

明るく芯のあるボーカルと、ハスキーな低音域が魅力的な楽曲。ストリングスと一体になって歌い上げる声ですが、聴き比べると、楽器との距離感に違いを感じました。

 

WF-1000XM6では、ボーカルと楽器が一体となって楽曲を編んでいくように聴こえます。ボーカルの口の動きまで見えてきて、それは楽器の一部のように伸びやかに、気持ちよさそうに歌っている。

AirPods Pro 3ではボーカルが少し前に出てきます。楽器はほんの少し後ろに距離を保ち、それによってボーカルがとても聴きやすく、miletの魅力的な声を堪能できる。

 

WF-1000XM6では楽曲の一部のようなボーカル、AirPods Pro 3はボーカルの魅力が伝わる演奏。 同じボーカリストでも、こんなに見え方が変わる一曲でした。

 

Billie Eilish「bad guy」

力強く響く低音と囁くようなボーカルを重ねて、暗さと立体感で空間を表現している楽曲。低音の質感に違いを実感しました。

 

WF-1000XM6の低音は、角に丸みがあって、空間を満たすように広がっていきます。沈み込みはしっかりありながらも、ボーカルの背景に溶け込んで、楽曲全体の雰囲気を作っているように聴こえました。

AirPods Pro 3の低音は、前へ押し出してくるアタック感が強く、脳を揺さぶってきます。Billie Eilishの囁き声と低音の爆発のコントラストがそのまま体に届いて、この曲の攻撃性をストレートに楽しめました。

 

WF-1000XM6は低音で曲の世界に包まれる、AirPods Pro 3は低音で曲に揺さぶられる。 低音だけみても、楽曲に与える印象が変わる一曲でした。

 

【参考】WF-1000XM6にLDACという選択肢

ここまではiPhoneのAAC接続で聴き比べてきました。ただ、WF-1000XM6はLDACに対応しているので、本来のポテンシャルはこんなものじゃないはず。ということで、 Questyle QCC Dongle ProをiPhoneに接続して、LDACでも聴いてみることにしました。

 

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AACからLDACに切り替えて音楽を聴いてみると、楽器がボーカルを包むように一体となって、楽曲の演奏を楽しませてくれます。AACではギターやストリングスの奥行きを感じることができましたが、それが一歩前にも動いて、さらに空間の広さを実感することになりました。高音は温かい陽射しのように明るい音調で、低音はより力強さが増して、楽曲の良さを引き出していました。

 

iPhoneユーザーがわざわざDongleを買ってLDACを試すかというと、そこまで必要かは人それぞれだと思います。ただ、WF-1000XM6にはこんな「もう一段上」のポテンシャルがある、ということだけ、ここに残しておきます。

 

さいごに - 音を聴くか、音楽に浸るか

WF-1000XM6 とAirPodsで楽曲を比べてみました。

 

こうしてみると同じ楽曲なのに機種の違いで音の出方が大きく違うことに驚かされました。

SONYはサウンドエンジニアとの共創により音源のバランスが非常によく心地よさが楽しめ、AirPodsではメリハリの効いた一発は楽器とボーカルの一体感が魅力的でありました。

 

どちらが上、ということではないと思います。 同じ曲なのに、聴かせ方が違うだけ。

 

 

ゆったりとした夜に音楽に浸りたい日もあれば、出かける前にテンションを上げたい日もある。 そんな自分の気分や、聴きたい音楽に合わせて選び分けられたら、きっと毎日の音楽体験はもっと豊かになると思うんです。

 

AirPods Pro 3は、iPhoneユーザーにとっての安心感と完成度の高さがあります。 WF-1000XM6は、音楽そのものに深く向き合いたい人にとっての奥行きがあります。 どちらも妥協のないフラッグシップで、選んだ理由がちゃんと音として返ってくる2機種です。

 

音を聴くか、音楽に浸るか。 あなたが今、聴きたいのはどちらの音楽体験でしょうか。

 

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