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Punch Audio Patada レビュー|低音は深く中音に被るがボーカル明瞭

Punch Audio Patada

※本記事は、Linsoul JP様より製品をご提供いただき作成しています。記事内にアフィリエイトリンクを含みます。

 

こんにちは!エスです。

 

最初に結論を。Punch Audio Patadaは低音重視タイプのイヤホン。ビリー・アイリッシュのようにサブベースを効かせた楽曲は深く沈み込んで気持ちいいけど、ギターやストリングスなど楽器の多い楽曲では低音が中音に被ると感じました。

 

圧のある広がる低音と、前に来て聞き取りやすいボーカルは魅力的。ただ中音への被りと高音の控えめさは気になったポイントで、そのあたりを実際に聴きながら詳しくレビューしていきます。

 

Patadaの評価まとめ(2万円前後という価格を踏まえた、僕の主観での評価です)

項目 評価 ひとこと
低音 ★★★★★ 量感たっぷりで、深く沈むサブベース
中音 ★★★☆☆ ボーカルは前に来て聞き取りやすいが、楽器に低音が被る
高音 ★★☆☆☆ 控えめで刺さらない。シンバルは伸び切らない
音場 ★★☆☆☆ 下方向には伸びるが、左右と奥行きは狭め
装着感 ★★★☆☆ 本体は小さめだが、ノズルが太く好みが分かれる
鳴らしやすさ ★★★★★ スマホ+ドングルDACでも音量25%ほどで十分

 

はじめに

PUNCH AUDIOのイヤホンは今回が初めてで、その名の通りパンチの効いたドンシャリサウンドかなぁと想像していたんです。でも実際に聴いてみると、想像以上の低音の量感でした。「ドン」より「ドォン」と響く、少し暖かみのある音です。低音に比べると、シャリ感は薄めです。

 

聴いて一番驚いたのは、低音の深さです。音場が下へと伸びていくサブベースは、このイヤホンのストロングポイントだと感心しました。

 

気になったのは、冒頭でも触れたシャリ感の弱さです。高音で攻めたい、シンバルの残響を響かせたいといった楽しみ方には、少し控えめでした。普段聴いている音楽と重ねながら読んでみてください。

Patadaの特徴

イヤーピースはシリコンとフォームタイプの2種が付属されています

まずはPatadaの特徴をざっくりまとめると、こんな感じです。

  • 10mmセラミック振動板ダイナミックドライバー+MEMSドライバーのハイブリッド構成で、低音と高音を役割分担して鳴らす
  • デュアルキャビティ・デュアルマグネットで、低音に力強さを持たせている
  • 14dBのサブベースシェルフで、ビリー・アイリッシュのような重低音が主役の楽曲を深く楽しめる
  • 最大45kHzまで伸びる高音
  • 2pin着脱式ケーブルなので、断線しても交換でき、リケーブルで音の変化も楽しめる
項目 内容
ドライバー 10mmセラミック振動板DD + MEMSドライバー
再生周波数帯域 20Hz〜45kHz
インピーダンス 20Ω(@1kHz)
感度 104dB(@1kHz)
THD 0.16%(@1kHz)
接続端子 2pin
プラグ 3.5mm
付属品 イヤーピース(S/M/L 計6ペア)、ケーブル、ケース、予備のノズルフィルター
価格 21,280円(2026年10月時点)

再生周波数帯域が45kHzまであるので高音の伸びを想像してしまいますが、実際は低音の力強さが非常に目立ちます。低音好きな人に好まれそうなイヤホンです。

デザイン・外観

スモークが表現された外観

黒を基調に、シェルにはスモークを表現したデザインです。

 

シェルにはPUNCH AUDIOのロゴが配置され、シルバーで縁取りされたロゴは光が当たると反射して浮かび上がります。筐体は少し小さめで、薄さもあります。

ノズルは金属製で、価格に対して安っぽさは感じません。

端子のLR表記は内側にして欲しいですね

ただ一点、気になったのがLRの表記です。2pin端子のLR表記がイヤホンの外側にあるので、装着すると他人から見えてしまうんです。スマートではないので、ここは直してほしいですね。

装着感

装着してみました

イヤホン本体は少し小さめで、耳への収まりは良いです。ノズルが太いので、装着すると安定はします。

ただ、本体と耳のフィット感はもう少し欲しいところ。僕の場合、耳で支えるというより、ノズルでイヤホンを支えるような装着になるんですよね。

ノズルは太めで装着に影響がありそう

ノズルが太いぶん、耳の形によっては長時間の装着で圧迫感が出て、耳が痛くなるかもしれません。

他のイヤーピースも試してみましたが、付属のシリコンがいちばん安定しました。

付属品・ケーブル

ケーブルは不織布で巻かれ、端子からコネクタまでブラックで統一されていて、質感は良いです。柔らかく取り回しも良好で、タッチノイズも抑えられています。

ノズルフィルターは購入時から装着済みで、付属しているのは予備です。

ケースに深さがあり収納しやすい

ケースは外観にシボ加工がされ安っぽくないです。ぱっと見コンパクトですが、深さがあってイヤホンは収納しやすいです。

 

低音のキャラクターを重視したチューニングなので、まずは付属ケーブルで楽しめます。2pin端子なので、音場の広さや中高音の伸びを求めるなら、リケーブルで遊んでみる余地もあります。

鳴らしやすさ・再生環境

今回は、再生機器のリファレンスとしてMacBook Proを使って評価しています。イヤホンジャックに直接挿して、Qobuzからストリーミング再生しました。

比較のために、iBasso Audio DX270やドングルDACの川木 Type-C - 3.5mm変換ケーブルを使いました。

 

使用環境

  • 再生機器:MacBook Pro(イヤホンジャック直挿し)/iBasso Audio DX270/iPhone 17 Pro MAX+川木 Type-C - 3.5mm変換ケーブル(DAC内蔵・ES9280C PRO)
  • 音源:Qobuz(ストリーミング)
  • ケーブル:付属ケーブル(3.5mm)

 

結果、Patadaは音量が取りやすいイヤホンです。MacBook Proの直挿しでも十分な音量が取れ、DAPのiBasso DX270では音量Loゲイン30/最大63で十分でした。

インピーダンス20Ω・感度104dBというスペックどおり、鳴らしにくさを感じることはありませんでした。

iPhone 17 Pro MAX+ドングルDACでも楽になります

イヤホンジャックのないスマートフォンでも試してみました。Amazonで購入した川木のType-C - 3.5mm変換ケーブルを使いました。USB-Cに挿すだけで使える、12cmほどの小さな変換ケーブルです。DACを内蔵しているので、音量25%ほどでしっかり音量が取れました。

スマホで聴く場合は、こうしたドングルDACを1本用意すれば十分です。USB-C - 3.5mmのドングルDACなら、手持ちのものでも鳴らせると思います。僕が使ったものは、記事末にリンクを置いています。

 

このイヤホンでビリー・アイリッシュを聴き始めて、気づいたことがあるんです。重低音が大きくても、楽曲は存分に楽しめる。音楽はバランスだけではないと、改めて感じました。ただ、人によっては重低音を長く聴き続けると耳が疲れるかもしれません。

音質レビュー

第一印象

ひとことで言うと、Patadaは低音の深さを重視したイヤホンです。

セラミック振動板から押し出される低音は、前へと主張してきます。ただ前へ迫るだけではなく、深く沈む重低音まで楽しめました。

低音

低音は、前へ押し出してくる量感が特徴です。音楽のノリを楽しめます。

締まりよりも、やや緩く広がるタイプです。サブベースをとことん感じたい方に向いています。

 

ビリー・アイリッシュ「bad guy」では重心が低く、音場が下へ下へと沈み込みながら広がっていきます。楽曲のリズムと低音が、重力を感じるようなノリを生み出していました。

 

ビリー・アイリッシュ「xanny」では低音が支配的に力強く広がりますが、ボーカルと調和して一体となり、楽曲を低い底から盛り上げていきます。

中音

中音は、ボーカルの聞き取りやすさが印象的です。

ボーカルはやや丸みがあり、力強さよりも聴きやすさがあるタイプです。少し前に来るので、声が聞き取りやすくなっています。一方で、ストリングスやエレキギターの気持ちいい音域には、低音が少し被り気味でした。

 

宇多田ヒカル「First Love」では、ボーカルがやや近く、楽曲の主役として聴こえます。息遣いやビブラートが聴き取りやすく、心地よさがありました。ただ、低音のボリュームが少し大きく、好みが分かれそうです。

 

GLAY「HOWEVER」では、ベースの動きが目立つ場面があり、エレキギターに少し被ることがありました。楽器とボーカルの距離は近いものの、ボーカルが埋もれることはありません。もう少し音場の広さが欲しいと感じました。

 

milet「The Story of Us」は、明るいボーカルで声も大きく、聴いていて気持ちいいです。ただ、ストリングスとボーカルの分離感はもう少し欲しいところ。悠々と鳴るストリングスの良さが、低音にマスクされていました。

高音

高音は控えめで、キンキンしたキツさはありません。刺さりにくいので、高音が苦手な方にも聴きやすいです。

 

GLAY「BETTY BLUE」では、シンバルの力強さは少し控えめです。残響も少なく、シャーンと鳴った後に伸び切らずに収まります。

 

凛として時雨「abnormalize」では、刺激やキツさは抑えられていますが、ボーカルやギターの勢いはそのままにうまくまとめられています。ギターのギラギラ感が少し抑えられているため疲れることなく聴けます。

 

長時間聴いても疲れにくい反面、高音にきらびやかさを求める方には物足りないかもしれません。僕はもう一押し欲しかったかな。

音場・定位感・分離感

音場は、左右と奥行きが狭めです。音が前へ出てくるためか、少し窮屈に感じました。

一方で、下方向には伸びます。ビリー・アイリッシュのように低音が伸びる楽曲では、下へ広がっていく感覚がありました。

 

米津玄師「IRIS OUT」では低音の元気が良すぎて支配的ですが、ボーカルはしっかり聴き取れます。ただ音場が狭いので、もう少しゆとりが欲しいと感じました。

 

L'Arc〜en〜Ciel「Driver's High (Remastered 2022)」でベースを追うと、ギターに対してもう少し分離して、明瞭に聴こえてほしいと感じました。音が団子になることはありませんが、僕の好みではもう一歩です。

どんなジャンルと相性がいい?

相性が良いと感じたのは、ビリー・アイリッシュのように低音とボーカルが主役の楽曲です。暗く深く伸びる低音はビリー・アイリッシュのウィスパーボイスと相性が良く、音数が少ないからこそ、楽曲をシンプルに楽しめました。

 

宇多田ヒカル「First Love」のようにボーカルが主役の90年代J-Popも、息遣いやビブラートが近くに聴こえて心地よく聴けます。逆にGLAYのようなバンドサウンドでは、ベースとギターが重なる場面で低音の被りが出やすいと感じました。

遮音性・音漏れ

Softears RSV 2と、遮音性と音漏れを比較しました。イヤーピースはPatadaが付属のシリコン、Softears RSV 2がELETECH BAROQUEと条件が異なるため、参考程度に見てください。

 

遮音性は、電車の走行音の動画をスピーカーで再生して確認しました。Softears RSV 2と比べると少し悪いです。騒音は少し下がりますが全体的に騒々しく、人の話し声も聞こえます。

 

音漏れは、音楽を再生しながらiPhone 17 Proを10cmほど離して動画を撮って確認しました。ベントの関係か、少しガチャガチャと音漏れがしますね。Softears RSV 2は音漏れがないため、差がはっきり出ました。

 

静かな場所では、音漏れが気になるかもしれません。

Softears RSV 2と聴き比べてわかったこと

Softears RSV 2と比べてみました

手元にPatadaと同じ価格帯の有線イヤホンがないため、普段リファレンスにしているSoftears RSV 2と聴き比べました。価格帯も再生環境も違うので、優劣ではなく、Patadaの個性を知るための参考にしてください。

 

比較環境

  • Patada:MacBook Pro+付属ケーブル(3.5mm)
  • Softears RSV 2:iBasso Audio DX270(4.4mmバランス接続)

 

低音は、Patadaが量感と沈み込みを前面に出しています。RSV 2も量感はありますが、クリアで上質な鳴り方です。

 

中音と分離感は、Patadaは中音に低音がやや被るものの、ボーカルははっきりしています。RSV 2はギターがエネルギッシュに鳴り、楽器とボーカルがしっかり分離するので、音楽全体が見通しよく聴こえます。

 

高音と音場は、Patadaは高音が控えめで、音場も狭めです。RSV 2は高音が伸びやかで、そのぶん音場の広さが空間として感じられます。

 

価格も音質の水準も違う2機種ですが、並べて聴くとPatadaの低音の出し方がより際立ちます。「こんな音を作りたい」という作り手の狙いが伝わってきて、そこに魅力を感じました。

  • Patadaが向いている人:重低音とボーカルの聞き取りやすさを手頃な価格で楽しみたい人
  • Softears RSV 2が向いている人:低音の量感を保ちつつ、広い音場と分離感を高い水準で楽しみたい人

Patadaの良かったところと気になったところ

良かったところ

  • サブベースを楽しめる重低音
  • ボーカルが前に来て聞き取りやすい
  • 高音が控えめなので、音がうるさくならず聴き疲れしにくい
  • 音量が取りやすく、スマホ+ドングルDACでも鳴らしやすい
  • イヤホンのサイズ感やケーブルの質感が良く、価格に対して満足感が高い

気になったところ

  • 低音の量が多く、中音への被りが気になる
  • 重低音で長く聴くと耳が疲れる
  • ノズルが太く、装着感は好みが分かれる
  • 少し音漏れする
  • LR表記が外側にあり、装着すると見える

こんな人におすすめ

Patadaは、こんな人におすすめです。

  • ビリー・アイリッシュのような重低音・サブベースを楽しみたい人
  • ボーカルが聞き取りやすく、高音が刺さらない音が好きな人
  • 手頃な価格で、鳴らしやすい有線イヤホンを探している人

逆に、

  • 楽器の多い楽曲で分離感や音場の広さを求める人
  • シンバルの伸びや、きらびやかな高音が好きな人
  • 静かな場所で使うことが多い人

こういった方は、別のモデルの方が合う可能性があります。

Patadaのよくある質問

iPhoneやスマホで使える?

使えます。Patadaは3.5mmプラグなので、イヤホンジャックのないスマホではType-C - 3.5mmのドングルDACが必要です。川木の変換ケーブル(DAC内蔵)で試したところ、音量25%ほどで十分な音量が取れました。

電車や外で使える?

使えますが、遮音性は高くありません。電車の走行音は少し下がる程度で、人の話し声も聞こえます。また少し音漏れするので、静かな車内や図書館では音量を控えめにするのがおすすめです。

イヤーピースは交換したほうがいい?

まずは付属のシリコンイヤーピースで十分です。他のイヤーピースも試しましたが、付属のものがいちばん安定しました。ノズルが太めなので、交換する場合は太いノズルに対応したものを選んでください。

リケーブルは必要?

必要ありません。付属ケーブルは柔らかく、タッチノイズも抑えられていて質感も良いです。2pin端子なので、音の変化を楽しみたくなったときにリケーブルを試せます。

低音が多すぎて疲れない?

人によっては疲れるかもしれません。高音は刺さらないので耳に痛い疲れ方ではありませんが、重低音の量が多いぶん、長時間聴き続けると耳が疲れることがあります。

まとめ

低音の深さとボーカルの大きさに浸れるイヤホンでした。

 

量感と深さのある低音に、ボーカルがしっかり乗ります。ビリー・アイリッシュ「xanny」では、楽曲の歪ませた低音とボーカルがよくマッチし、音数が少ないからこそ「重低音+ボーカル」の一体感が押し寄せてきました。

ただ、この重低音が良くも悪くも目立ってしまい、音数の多い楽曲には主張が強いこともあります。とはいえ、重低音を楽しみたい楽曲にはしっかりマッチします。

2万円前後のイヤホンは音質の水準が高いぶん似た音になりがちですが、ここまで低音を個性にした音は珍しく、重低音を楽しみたい人には十分な聴き応えがあります。

 

特に印象に残っているのが、Patadaで聴くビリー・アイリッシュのアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」です。沈み込むサブベースと囁くようなウィスパーボイスが、アルバムの重さと暗さをそのまま描き出していて、その世界観にこのイヤホンがよく合うんです。気づけば、最初から最後まで通して聴いてしまったほどでした。

 

低音とボーカルに浸りたい方には、そっとおすすめしたい一台です。

 

気になった方はこちらのリンク先からどうぞ

 

今回使用したドングルDACです

MOMENTUM True Wireless 5 レビュー|音質はEQで化ける、音場は狭い

こんにちは!エスです。

 

先に言っておくと、MOMENTUM True Wireless 5は『素の音で評価してはいけない』タイプのイヤホンです。箱から出したままだと高音が控えめで、音場も左右に狭い。

 

ところが8バンドEQで高音を少し上げ、中低音を少し下げただけで、まったく違う顔になりました。ドライバーの素性が良いぶん、調整に素直に応えてくれます。

ただ新搭載のDolby Atmosには思わぬ制限があって、そのあたりを実際に聴きながら詳しくレビューしていきます。

MOMENTUM True Wireless 5。カラーはデニム

 

結論:こんな人に刺さるイヤホン

買ってすぐの音を楽しむイヤホンというより、自分の耳に合わせて育てていくイヤホンでした。

  • おすすめ:音を自分好みに寄せていくのが楽しい / ギターが前に出るバンドサウンドが好き / 長く使いたい
  • 合わないかも:買ってすぐ完成された音がいい / 音場の広さを最優先する / ボーカルだけを際立たせて聴きたい
  • 買う前の注意:Dolby Atmosをオンにすると、ハイレゾとサウンドパーソナライゼーションが使えなくなります

 

MOMENTUM True Wireless 5の特徴

バッテリーを自分で交換できる

今回いちばん評価したいのはここです。

 

完全ワイヤレスを何年か使っていると、必ずバッテリーがへたってきます。音は気に入っているのに再生時間が半分になって、結局買い替える。あの流れが本当にもったいないと思っていたんですよね。

 

MOMENTUM True Wireless 5は、左右のイヤホンと充電ケース、3つすべてのバッテリーをユーザー自身で交換できる設計です。完全ワイヤレスとしては異例で、海外のレビューでは「イヤホンの使い捨て問題への回答」と評されています。

2年で使い捨てる5万円ではなく、バッテリーを替えながら長く使う5万円。そう考えると、価格の見え方が変わってきます。

 

ただし、今の段階で注意点があります。

交換用バッテリーの型番はイヤホン用「BA 501」(左右1組)、ケース用「BA 502」とマニュアルに記載がありますが、この記事を書いている2026年9月時点では、価格も日本での販売時期も未発表です。ゼンハイザーはまずEUと一部の国から販売を始め、「手頃な価格で、手間なく買えるようにする」としています。

現時点では交換できる設計であって、すぐ交換できるわけではありません。

同梱の取り外しツール。これで分割線の爪を開けます


音の話より先に、まずこの設計を評価したいですね。

 

実際に開けてみた

設計だけ褒めて終わるのも違うので、左側のイヤホンを実際に開けてみました。

開けたイヤホンの内部

手順はこうです。

  1. イヤホンの内側にある2本のネジを緩める。ネジは外れない仕様なので、なくす心配がありません
  2. 同梱の取り外しツールをスリットに差し込み、爪を開ける。ここは少し硬いので、少しずつゆっくりこじります。力任せにやるとシェルが傷つきそうでした
  3. バッテリーはボタン電池で、載っているだけ。はんだもコネクタもないので、交換は載せ替えるだけです
  4. 戻すときが要注意。本体とシェルはフレキシブルフラットケーブルでつながっているので、斜めからではなく真上から平行に被せる必要があります。平行でないと閉まらず、無理に押すと内部を破損しそうです

ネジを回す精密ドライバーは同梱されていません。PH000相当のプラスドライバーが別途必要なので、持っていない方はバッテリーと一緒に用意しておく必要があります。

所要時間は片側15分ほど。慣れれば両側で10分かからないと思います。閉めた後の動作は正常でした。

 

ひとつ、やってみて気づいたことがあります。バッテリーが残った状態で作業するので、シェルに触れているあいだタッチ操作が反応していて、長押しとして認識されていたんです。左側を開けたので音量が0になっていて、再生しても音が出ない。右側なら逆に最大音量になっていたはずです。作業後は、音楽を再生する前に音量を確認したほうが安全です。

 

Bluetooth 6.0とaptX Adaptive

Bluetooth 6.0に対応し、aptX Adaptiveで最大24bit/96kHzのハイレゾ相当の伝送ができます。aptX Adaptiveに包括されるaptX LosslessでCDクオリティのロスレス再生。ただしこれは対応するAndroid端末の話で、iPhoneではAAC止まりです。伝送面での強みは、Androidユーザーのほうが受け取りやすい構成です。

 

LE AudioとAuracastは発売時点では非対応で、今後のファームウェア更新で追加予定とされています。5万円の最新モデルとしては、早めに対応してほしいですね。

 

Dolby Atmosとヘッドトラッキングにも同社の完全ワイヤレスとして初めて対応しましたが、こちらは見逃せない条件がついていたので、後半で詳しく書きます。

 

MOMENTUM True Wireless 5の仕様

イヤホン

イヤホンの仕様
  • 7mm ダイナミック型 TrueResponseドライバー
  • 周波数特性:5Hz〜21kHz
  • 感度:107dB SPL(1kHz / 1mW)
  • THD:0.08%未満(1kHz / 94dB)
  • Bluetooth Ver.6.0
  • 対応コーデック:SBC / AAC / aptX / aptX Adaptive / aptX Lossless
  • マイク:片側4基(骨伝導センサー含む)/計8基
  • 使用時間:最大12時間(ノイズキャンセリングOFF)/ 最大6時間(ノイズキャンセリングON)
  • 充電時間:約1.5時間
  • 防塵防水性能:IP54
  • マルチポイント対応(2台同時、ペアリング記憶は最大6台)
  • 質量:片側約7g

 

ケース

ケースの仕様
  • 使用時間:ケース込みで最大40時間
  • バッテリー容量:760mAh
  • 寸法:67.2 × 48.4 × 25.0mm
  • ワイヤレス充電(Qi)対応
  • 質量:約55g

 

付属品

付属品
  • イヤーピース(XS / S / M / L の4サイズ)
  • USBケーブル
  • バッテリー取り外しツール
  • 各種マニュアル

 

バッテリー取り外しツールが標準で入っているあたりに、交換を前提にした設計思想が表れています。ただし精密ドライバーは別売です。

 

価格・発売日

  • 発売日:2026年9月3日
  • 市場想定価格:49,940円前後
  • カラー:グラファイト / クリーム / デニム / ラベンダー / コッパー

 

公式の日本向け案内は4色ですが、Amazonではコッパーも扱っていて、実質5色から選べます。私はJoshinでデニムを購入しました。

 

MOMENTUM True Wireless 5の音

使用環境

  • iPhone 17 Pro Max
  • コーデック:AAC
  • マイサウンド:ニュートラル(標準)
  • サウンドパーソナライゼーション:OFF
  • Dolby Atmos:OFF
  • Spotify / Qobuz
  • 比較の基準:SONY WF-1000XM6(普段使いしている機種)

 

素の音:中音がメインの、まとまりで聴かせる音

ニュートラルのまま聴いた第一印象は、中音域がメインの音でした。エレキギターのような中音域の楽器がしっかり前に出てきます。高音は控えめで、低音は解像感より広がりで聴かせる、暖色の傾向です。

 

ボーカルが前に出て主役を張るタイプではなく、楽器を含めた全体がひとつのまとまりとして聴こえてきます。音場は広くありません。左右に展開するというより、正面に音が集まってくる鳴り方です。

 

前モデルのMOMENTUM True Wireless 4はやや高音が刺さるという評価があり、そこを丸めて低音を厚くした方向に振られています。海外のレビューでも「ベース寄りで、前作より暖かい」という評価が並んでいました。刺さりが減ったぶん聴き疲れはしにくく、そのかわり抜けや刺激を期待すると物足りなさが残ります。

 

使い始めて数日で、この第一印象は少し落ち着いてきました。エージングには賛否がありますが、私の体感としては変化がありました。とはいえ中音が中心で、奥行きより前へ出てくる性格は変わっていません。

 

低音|Billie Eilish「bad guy」「Xanny」

「bad guy」ではアタック感が強く、量感も十分にあります。それでいて締まりすぎることはなく、サブベースの広がりが楽曲の深さを引き上げていました。ドンと来る低音というより、空間を低く揺らして曲の底を支える鳴り方です。

 

「Xanny」は歪んだ低音と囁くようなウィスパーボイスを組み合わせた楽曲で、低音の大きさにボーカルが飲まれがちな曲です。ここでボーカルがかき消されることはありませんでした。低音が邪魔をせず、楽曲の雰囲気を作り上げる側に回っています。

 

低音が広がる性格のためか、曲全体のスピード感はやや緩やかに聴こえます。タイトな低音でリズムを刻むタイプではないので、疾走感のある曲では少しゆったりした印象になります。

 

中音・ボーカル|宇多田ヒカル「First Love」/GLAY「HOWEVER」

「First Love」では、ボーカルと楽器が絡み合って楽曲を彩っています。ボーカルの美しさだけが際立つのではなく、ベースラインの厚みやアコースティックギターの繊細さが一体となって、落ち着きのある一曲として仕上がっていました。

 

「HOWEVER」ではボーカルが特に前に出るわけではなく、バンドサウンドとの一体感が優先されています。一方でエレキギターの主張はやや強く、目立つ傾向にありました。バンドサウンドを浴びるように聴きたい方には気持ちいい鳴り方です。

ただ、ボーカルを中心に聴きたい曲では、ここが少し気になる方もいると思います。

 

高音|GLAY「BETTY BLUE」/凛として時雨「abnormalize」

「BETTY BLUE」のシンバルに力強さはありません。ただ、シャンシャンとした金属音がきめ細かく、残響感は良好です。押し出す高音ではなく、質感で聴かせる高音です。

 

「abnormalize」はボーカルもギターも刺さらず、手数の多い曲なのに団子にもならず、とても聴きやすく仕上がっています。ただ、この曲に関してはもっと刺激的でギラついた音が欲しいと思いました。聴きやすさと引き換えに、曲が持っている攻撃性が少し丸められています。

 

音場・定位|米津玄師「IRIS OUT」

音場はそれほど広くありません。ボーカルを含めたすべての音が、中心から前へ向かって出てきます。左右の広がりや奥行きで立体を作る感覚は薄めで、分離が悪いわけではありませんが、空間を楽しむイヤホンではありません。

 

ここまでがニュートラルの音です。聴きやすく破綻もない。ただ、高音の控えめさと音場の狭さが、このイヤホンの素の輪郭でした。ここからアプリで音を作っていきます。

 

音の作り方が3通りある

ここがこのイヤホンの核心です。Smart Control Plusアプリでは、音の設定をまとめて「マイサウンド」と呼んでいます。イコライザーのプリセットも自分で作った設定も、すべてマイサウンドの一覧に並びます。そのマイサウンドを作る方法が3つあります。

このイヤホンで「同時に使えない」ものをまとめた図

 

サウンドパーソナライゼーション:感覚だけで決められる

バーを動かして気持ちいい音の位置を探すだけ

まず弦楽器の音が鳴って、バーを動かしながら自分が気持ちいい音量を決めます。次に弦楽器とバスを合わせた音が鳴り、バーを右に動かすとバスが上がって弦楽器が下がる、左ならその逆。音量の調整を行いドラムのセッションで仕上げます。最後に微調整を行い、鳴っている音を聴きながら好みの位置を探していきます。

 

周波数の知識はいりません。「どっちが気持ちいいか」だけで決められるので、これはお手軽でした。EQの数字を見ても何をいじればいいか分からない、という方にはこの入口がいちばん向いています。

 

作った音はマイサウンドのひとつとして保存され、一覧にニュートラルやほかのプリセットと並びます。

 

つまりサウンドパーソナライゼーションと自分でのEQ調整は、同時には使えません。 さらにパーソナライゼーションを選んでいるあいだは、バスブーストが使えません。

 

低音をもう一段厚くしたい方には、物足りない場面が出てくると思います。

 

プリセット:まず一通り聴いてみてほしい

マイサウンドにはプリセットが用意されています。個人的に良かったのは「ダンス」でした。低音の押し出しと高音の抜けのバランスが取れていて、素の状態で感じた高音の物足りなさがここで解消します。

 

プリセットならバスブーストも併用できます。手早く好みに寄せたいなら、まずプリセットを順番に聴いてみるのが近道です。

 

8バンドEQ:いちばん追い込める

手動の8バンドEQなら、狙った帯域だけを動かせます。バンドは40 / 125 / 325 / 750 / 1.5k / 3k / 6k / 15kHz。私の設定はこうです。

 

40Hz 125Hz 325Hz 750Hz 1.5kHz 3kHz 6kHz 15kHz
+0.4 -0.2 -0.8 -0.4 +0.3 +0.5 +0.9 0

 

いちばん下げたのが325Hz、いちばん上げたのが6kHz。

中低音の厚みを少し引いて、ボーカルの明瞭さに関わる帯域を持ち上げた形です。どれも1dB以内の小さな動きですが、それだけで素の状態で感じていた覆いかぶさるような感覚がいい感じに消えました。

 

低音は量感を保ったまま一歩下がり、埋もれていたシンバルやギターの倍音が前に出てきます。ボーカルの輪郭もはっきりして、調整してみて評価が変わりましたね。

私が作ったマイサウンド「ボーカル周りを少しスッキリ」

7mmのTrueResponseドライバーは前モデルから引き継がれたものですが、素性が良いのだと思います。上げた帯域が破綻せず、素直に応えてくれます。安いイヤホンで同じことをすると上げた帯域が歪んだり不自然になったりするんですが、そういう崩れ方をしませんでした。

 

下げる方向も同じで、40 / 125 / 325Hzを最小まで下げてもスカスカにはなりません。裏を返すと調整幅は極端ではないので、音を大きく作り変えたい方には物足りないかもしれません。

ただ、初めてEQに触る方が失敗しにくいという意味では、安心できる設計です。こちらもバスブーストが使えます。

 

作ったマイサウンドはQRコードで共有できます。スマホのカメラで読み込むと「〔設定名〕のマイサウンドを追加しますか」と表示されるので、「追加」をタップするだけ。アプリを開いて手入力する必要はありません。自分で追い込むのが難しくても、詳しい人の設定を読み込むだけで済むわけです。

私の設定はこちら。カメラで読み込んで「追加」をタップすると、マイサウンドに並びます

 

どれを選べばいいか

3つは並列の選択肢ではなく、マイサウンドの一覧からどれかひとつを選ぶ形になります。

方法 手軽さ バスブースト 向いている方
サウンドパーソナライゼーション ◎ 聴いて選ぶだけ ✗ 使えない 設定をいじるのが苦手な方
プリセット ◎ 選ぶだけ ○ 使える 手早く好みに寄せたい方
8バンドEQ(グラフィックイコライザー) △ 自分で追い込む ○ 使える 好みの音像がはっきりしている方

初めて使うなら、サウンドパーソナライゼーションから入るのがいいと思います。聴いて気持ちいいほうを選ぶだけなので、迷いようがありません。

 

グラフィックイコライザーは自由度が高いぶん、難しさもあります。自分の中に「こういう音にしたい」という基準がないと、どこを動かせばいいのか決められません。 結局ニュートラルのまま使い続ける方も、けっこういるんじゃないかなと思っています。

私はカーオーディオで長く調整してきたので苦になりませんが、誰にでもおすすめできるものではないですね。低音を厚くしたいけれど細かい調整は面倒、という方には、バスブーストが使えるプリセットがちょうどいい落としどころです。

 

EQで直せないもの

音場の狭さは、EQでは変わりませんでした。 高音を上げると見通しは良くなるので広く感じる瞬間はありますが、左右の広がりそのものは動きません。

 

音の高さや広がりの手がかりは、耳の外側のひだ(耳介)の反射で作られます。カナル型は耳介を素通りして耳道に直接音を入れるので、この情報が構造的に失われます。周波数バランスをいじっても、空間の広さは戻ってこないわけです。

  • EQで直せるのは音
  • EQで直せないのは空間

 

ニュートラルだけで判断せず、まず3つの調整を試してほしいです。

 

Dolby Atmos:高さは出る。ただし代償がある

Apple MusicでAdo「ギラギラ」「唱」のDolby Atmos版を再生して試しました。

 

高さは確かに出ます。素の状態では平面的だった音に、上方向の情報が加わります。ただ、音場が立体的に広がるというより、定位を上に持ち上げているだけという印象。ボーカルが頭の上に位置していて、そこを中心に音が回るような鳴り方をします。

私はしばらく聴いていて、少し酔ったような感覚になってきました。ここは合う合わないがはっきり分かれると思います。

 

そして、もうひとつ見逃せない制限があります。Dolby Atmosをオンにすると、以下が使えなくなります。

  • 24bit/96kHzのハイレゾ伝送
  • サウンドパーソナライゼーション

Dolby Atmosをオンにすると、ハイレゾとパーソナライゼーションが使えません

8バンドEQは引き続き使えます。これはスペック表にも各種レビューにも書かれていませんでした。Dolby Atmosのデコードはソース機器側で行われる仕様なので、その処理を通した時点で伝送の条件が変わるのだと思われます。

 

つまりこのイヤホンは、買った人に二者択一を迫ってきます。

モード 得られるもの 失うもの
音質優先 24bit/96kHz+パーソナライゼーション+EQ 上方向の定位感
空間優先(Dolby Atmos) 上方向の定位感 ハイレゾ・パーソナライゼーション

 

私は音質優先を選びました。

Dolby Atmosで得られる高さが「持ち上げただけ」に感じられるのに対して、失うものが大きすぎます。映画や動画で試す価値はありますが、音楽を聴くなら、EQを詰めたほうが満足度は高くなりました。

 

ゼンハイザー初の目玉機能だが、音楽用途では常用しにくいところです。

 

デザイン・装着感と操作性

デザイン:繋ぎ目の多さは、交換設計の代償

ケースの縁とイヤホン本体、どちらにも分割線があります

ケースは縁の上下に別のラインが入り、イヤホン本体も半分で分割されたデザインです。バッテリー交換用の爪を差し込むための構造なので理由ははっきりしていますが、5万円のイヤホンとして手に取ると、この境目はどうしても目に入ります。

 

比べてしまうのは手持ちのBang & Olufsen Beoplay Elevenです。ケースもイヤホンも段差をなくし、色味にも統一感がある。あの継ぎ目のなさこそが高級機の所有感を作っていたのだと、改めて感じました。

 

長く使える構造を取るか、手にしたときの一体感を取るか。ここは考え方が分かれるところです。私は交換できることも評価しますが、外観の完成度で選ぶならBeoplay Elevenのほうが上です。

 

装着感:悪くない。ただ取り出しにコツがいる

装着感は悪くありません。耳への収まりに不安はなく、耳からの飛び出しが少ないので横から見てもスマートです。大きめのイヤホンにありがちな、耳から何か生えているような見た目にならないのは好印象でした。

装着してみました。飛び出しが少なくスマートです

気になったのはケースからの取り出しです。

私は乾燥肌なので、イヤホンをつまもうとすると指が滑って、うまくつかめないんです。そこで、手前に押し出すようにして浮かせてから取り出すようにしています。慣れれば問題ありませんが、乾燥肌の方は少しコツがいるかもしれません。

 

外で取り出すときは落とす心配から緊張感が走るので、指先が乾く冬場はかなり気を使いそうです。

 

操作性:タップの反応が非常に良い

タッチ操作は優秀です。

軽く触れるだけで反応し、反応音がタップ回数によって変わるので、いま何回として認識されたかが耳で分かります。これが地味に便利で、操作ミスに気づきやすくなります。

 

最大3回タップまで割り当てられ、立ち止まっていれば3回も問題なく決まります。歩いているときに難しくなるのは、ほかの完全ワイヤレスと同じですね。

音量はタップ長押しで、左側が下がる、右側が上がる。ひとつ注意があって、上げる方向で長押ししすぎると爆音になります。最初にやったときは思わず耳から外しそうになりました。上がってきたと感じたら、早めに指を離すのがコツです。

 

操作は反応音で回数が分かるのが親切でした。長押しの音量上げだけは慎重にしてください。

 

ノイキャンと外音取り込みの性能は?

ノイズキャンセリング:低音は消える。ざわつきが少し残る

YouTubeの電車内の環境音を再生して試しました。実際の車内ではなく音源での検証なので、その点は差し引いて読んでください。

 

ノイズキャンセリングは優秀です。走行音のような低音域の騒音はしっかり消え、人の声も抑えられますが聞こえてはきます。気になったのは、低音が消えたあとに中高域のざわざわした成分が薄く残り、それが少しだけうるさく感じることでした。

 

普段使っているSONY WF-1000XM6と聴き比べると、性格の違いがはっきり出ました。

項目 MOMENTUM True Wireless 5 WF-1000XM6
低音の騒音 消える 消える
人の声 少し抑える 積極的には消さない
ざわつき 少し残る 消える
圧迫感 窮屈感はない なし。開放感がある

 

人の声そのものはMOMENTUM True Wireless 5のほうが少し抑えられます。

ただWF-1000XM6は、人の声を積極的に消しにいかない代わりに、騒音とざわつきをきれいに消し、圧迫感がなく開放感すらあります。ざわつきの残り方の差で、性能はWF-1000XM6が少し上だと感じました。

海外のレビューの「前作から大幅に改善したが、WF-1000XM6・AirPods Pro 3・Boseの一段下」という位置づけとも重なります。

 

ノイキャンは優秀だが最上位ではない。ざわつきの残り方でWF-1000XM6に一歩譲るといった感じです。

 

外音取り込み:WF-1000XM6より大きく、自然に拾う

外音取り込みは優秀です。

こちらもYouTubeのショート動画を流しながらWF-1000XM6と聴き比べました。取り込む音量はどちらも調整できますが、最大にしたときの拾い方はMOMENTUM True Wireless 5のほうが大きく、周囲の音がはっきり入ってきます。

 

差が出たのは扇風機でした。WF-1000XM6は風の音がうねるように揺れて拾いきれていない部分がありますが、MOMENTUM True Wireless 5は同じ条件で問題なく拾えていました。風のような連続した音の処理は、こちらのほうが安定しています。

 

ノイズキャンセリングでは一歩譲りましたが、外音取り込みは逆にMOMENTUM True Wireless 5が上です。イヤホンをつけたまま会話やレジでのやり取りをする機会が多い方には、実用面で有効ですね。

 

比べてみると消す性能はSONY、拾う性能はゼンハイザーになりました。

 

音漏れ:普段の音量なら心配なし

音楽を再生した状態でイヤホンのそばにスマホを置き、動画を撮ってみました。音量はバッテリー検証と同じです。この音量では音漏れは確認できませんでした。カナル型で密閉度も高いので、電車や図書館でも気を使わずに使えます。

 

なお、通話品質は今回検証できていません。試せたタイミングで追記します。

 

バッテリー検証:1時間でちょうど20%減

Spotifyの「トップ50 - 日本」を2時間再生して残量を確認しました。

 

使用条件

  • iPhone 17 Pro Max(コーデック AAC)
  • ノイズコントロール:ANC
  • 空間オーディオ:OFF
  • マイサウンド:ニュートラル
  • 音量:下のスクリーンショット参照

音量設定のスクリーンショット

結果

  • 開始時:80%
  • 1時間後:60%
  • 2時間後:40%

 

1時間あたりきっちり20%ずつ減りました。残量表示は10%刻みなので細かくは追えていませんが、2時間で同じペースだったので傾向としては信頼できると思います。

満充電から5時間前後という計算で、公称値のANC ON最大6時間と大きな差はありません。ここは安心していいですね。

 

ケース込みで最大40時間なので、通勤で毎日使っても週に1〜2回ケースを充電すれば足ります。

 

おすすめポイントと気になるポイント

おすすめポイント

  • 音の作り方が3通りあり、設定が苦手でも好みに寄せられる
  • 8バンドEQへの反応が素直で、上げても下げても破綻しない
  • バッテリーを左右イヤホン・ケースとも自分で交換できる設計
  • 耳からの飛び出しが少なく、スマートに装着できる
  • 外音取り込みはWF-1000XM6より大きく自然に拾える
  • タップの反応が良く、反応音で回数が分かる
  • ANC ONで実測5時間前後。公称値どおりの持ち。音漏れもなし

気になるポイント

  • 素の状態では高音が控えめで、音場も左右に狭い(音場はEQで改善しない)
  • 低音が広がるぶん、スピード感はやや緩やか
  • パーソナライゼーション・プリセット・EQは択一。パーソナライゼーション中はバスブースト不可
  • Dolby Atmosをオンにするとハイレゾとパーソナライゼーションが使えない
  • ノイズキャンセリングはざわつきが少し残り、WF-1000XM6に一歩譲る
  • 繋ぎ目が多く外観の一体感に欠ける。乾燥肌だとケースから取り出しにくい
  • 長押しの音量上げは一気に爆音になるので注意
  • 交換用バッテリーの価格・日本での販売時期が未定(2026年9月時点)。精密ドライバーも別途必要
  • LE Audio / Auracastが発売時点で未対応

 

まとめ:EQを味方にできる人へ

ゼンハイザー MOMENTUM True Wireless 5を紹介しました。

 

このイヤホンの価値は、素の音の完成度ではなく、自分の好みに寄せていける懐の深さにあります。音の作り方が3通りあり、設定が苦手な方にも入口が残されている。箱出しの音だけで判断すると、高音が控えめで音場が狭い、おとなしい高級機に見えてしまう。でもEQを少し触った瞬間に、まったく違うイヤホンになりました。

 

バッテリーを交換しながら長く使える設計と合わせて考えると、5万円の見え方も変わってきます。買った瞬間が完成形ではなく、使いながら仕上げていくイヤホンでした。

 

音場の広さを最優先する方や、設定をいじらず良い音を聴きたい方には、SONY WF-1000XM6のほうが合うと思います。XM6は39,600円で約1万円安い。その差をバッテリー交換と音を作る楽しさで埋められるか、が判断の分かれ目です。そのあたりは別途、比較記事でも書く予定です。

 

自分の耳に合わせて音を作る楽しさを知っている方には、そっとおすすめします。

 

 

Noise Master Buds MAXレビュー|数値のないイコライザーが語る、BOSE監修の音

Noise Master Buds MAX

こんにちは!エスです。

 

結論から言うと、Noise Master Buds MAXは機能を絞り込んで音質に振り切った、3.3万円としては満足感の高いワイヤレスヘッドホンでした。

 

それを象徴しているのがアプリのイコライザーです。低音・中音・高音の3本のスライダーだけで、数値もdB表示もありません。

SOUND BY BOSEのプリセットが用意されています

プリセットも「カスタム」と「SOUND BY BOSE」の2つだけ。見た瞬間に「これを使ってほしい」という作り手の意図が伝わってきました。

BOSE監修と聞いて、名前を借りただけだろうと思っていました。でも聴いてみると、その考えは変わります。中高音のシャープさとエッジのキレが際立っていて、バンドサウンドが気持ちよく鳴ります。

 

一方で高音質コーデックはLHDCのみ、有線接続もできません。操作もタッチではなく物理ボタンです。この割り切りをどう見るかで評価が分かれます。

 

イコライザーの正体も含めて、詳しく紹介していきます。

項目 評価
音質 ★★★★☆
装着感 ★★★★☆
ノイズキャンセリング ★★★☆☆
操作性 ★★★★★
コスパ ★★★★★

 

※本記事は株式会社StoreHero様より製品をご提供いただき作成しています。掲載内容は実際に使用した上での僕自身の感想で、評価について指示や制限は受けていません。

 

 

Noise Master Buds MAXの特徴

まずはNoise Master Buds MAXの特徴をざっくりまとめると、こんな感じです。

  • BOSEとのコラボレーションによるキレのある音質
  • 3段階の固定切替もできるノイズキャンセリング機能
  • 軽さと側圧が適度なので装着感が良い
  • 10分で最大10時間再生が可能な急速充電に対応
  • 物理ボタンだから確実な操作ができる
  • ハウジングのスピン加工が美しい

この中で、使い始めて最初に驚いたのが操作方法でした。

 

僕はワイヤレスヘッドホンの操作方法として、イヤーカップをタッチすることが当たり前だと思っていて、当たり前のようにタップしてみると無反応。「あれっ、おかしいな?」と思いアプリから操作方法を確認してみると、ボタン操作のみの説明でした。タッチ機能を省くことで価格を抑えていると考えれば納得できますし、実際に使ってみると物理ボタンの確実さはむしろメリットに感じています。

 

特徴だけを見るとやはりBOSEが監修した音質が気になりますが、実際に使ってみると、音質以外にも装着感の良さが好印象でした。

 

Noise Master Buds MAXのスペック

項目 内容
型式 密閉型オーバーイヤーヘッドホン
ドライバー 40mm
Bluetoothバージョン 5.4
対応コーデック SBC / AAC / LHDC
有線接続 非対応
ノイズキャンセリング 対応(アダプティブ/固定3段階:低・中・最大)
外音取り込み 対応(トランスペアレントモード)
空間オーディオ 対応(ヘッドトラッキングなし *頭の動きに音の定位は追従せず、常に正面から聞こえます)
マルチポイント 対応
装着検出 着脱に合わせた自動再生・一時停止
再生時間 最大60時間(ANC使用時 最大48時間)
急速充電 10分の充電で最大10時間再生
充電端子 USB Type-C
操作方式 物理ボタン(タッチ操作非対応)
専用アプリ 対応(EQ/モード切替/マルチポイント設定)
Google Fast Pair Androidデバイスとの素早いペアリングに対応
機構 90度スイーベル/折りたたみ
質量 262g
防水性能 IPX4
紛失防止機能 ヘッドホンを探す(Find my Headphone)
カラー Onyx(Black)/Titanium/Silver
付属品 ポーチ/クリーニングクロス/充電ケーブル
販売価格 33,000円

※スペックはメーカー公表値です。

※AACのコーデックも接続を確認しました。

 

デザイン・外観|レコード盤をモチーフにしたハウジング

外観はプラスチックと合皮で構成されたシンプルな外観です。高級感はありませんが、きちんと耳を覆うことができる90度スイーベル機構や持ち運びがしやすいように折りたたみ機能があります。

 

デザインで目を引くポイントはレコード盤をモチーフにしたハウジング。光を乱反射させて放射状の美しい輝きを生み出すスピン加工が特徴的です。右側には2時を指すライトバーがシンプルながら質感を演出しています。

放射状のスピン加工が特徴的で光の乱反射が美しく輝きます

ハウジングのスピン加工部に触れてみると、表面がフラットではなく放射状の凹凸があります。擦ると指の角質や皮脂により白い汚れが残りました。僕自身乾燥肌で、冬場は特にこの白さが残りやすいかなと経験上思いました。同じような乾燥肌の人は特に角質が付着しやすいのでメンテナンスは重要です。

ポーチとUSBケーブルが付属されていました

また、付属品にポーチがありますので、お出かけの際に折りたたんでポーチに入れたら気軽に持ち運ぶことができます。充電ケーブルも同梱されているので、届いたその日からすぐに使えます。

 

今回紹介しているカラーはOnyx(black)です。他にTitaniumとSilverがあり3色展開されています。

実際に手に取ると、イヤーパッドやヘッドバンドの厚みがしっかりあることと柔らかいことで装着感は良さそうだと感じられます。

 

装着感は?262gの軽さと側圧をチェック

側圧はキツくはなくて装着感は良好でした

装着感は結構良いです。

 

装着してみると、側圧はキツくなく圧迫感は少なくて眼鏡をしていても負担を感じません。頭頂部のヘッドバンドからも押さえつけられることはないのでこちらも好印象です。

これは262gの軽さも確実に効いていますね。

 

僕の場合では、2時間ほど連続で使っても「疲れにくいな」という感覚です。

ただ、合皮のイヤーパッドが柔らかく密着性が良いぶん、2時間つけていると流石に蒸れました。ここは装着感の良さと表裏一体の部分だと思います。夏場に長時間使う場合は、ときどき外して休憩を挟むのが良さそうです。

 

ヘッドホンは肩が凝るといった人にも軽さを含めた装着感の良さでNoise Master Buds MAXはおすすめできます。

 

スライド量は一般的です。手持ちのSONY WH-1000XXと比べても、最大までスライドさせた時のイヤーパッドの位置は同じなので、もしSONYを使っている方で小さいと感じるのであれば装着が難しいかもしれません。ここは個人の相性が出るかもしれません。

 

Noise Master Buds MAXの音質レビュー

第一印象

音を聴いて最初に感じたのは、硬質な音で広がるというよりストレートに音が耳に飛んでくると感じました。

 

試聴環境

  • iPhone 17 Pro MAX
  • 音源:Spotify
  • イコライザー:SOUND BY BOSE

スピーカーを基準に音の評価をしています

なお、音の評価は普段聴いている所有スピーカー「Focal Kanta No.1」を基準にしています。同価格帯のヘッドホンとの横並びではなく、僕がいつも聴いている音を物差しにした感想として読んでいただければと思います。

 

もうひとつ、イヤホンやヘッドホンを聴くときは毎回「凛として時雨『abnormalize』をどれだけギラギラした音で聴けるか」を試しています。この記事でも、その物差しで評価しています。

 

イコライザーは標準が「SOUND BY BOSE」です。

このイコライザーは低音を上げて高音を下げたカーブですが、ポイントはおそらく3kHz前後を上げていること。僕自身、ボーカルをもう少しクリアに聴きたい時に少し上げることがあって、この辺りを調整して少し聴こえやすくしています。

 

そして低音のカーブ。ここまで低音を上げてうるさいのではと思われるかもしれません。ところがドライバーの動きがいいのか、キレのある音に仕上がり逆に力強さが気持ちいい仕上げとなっています。

 

楽曲を聴いていて「あー、面白いな」と気がついたことがあって、楽器やボーカルのパートが横並びで主張し、バランスよくそれぞれが主役のような音の出方をしていたことです。

この音がBOSEチューンだと言わんばかりの凄さだと思いました。

 

カスタムEQは触るべき?

せっかくなのでカスタムに切り替えて、自分好みに追い込めないか試してみました。

結果としては、どう動かしてもBOSEプリセットのクリア感は出ませんでした。スライダーを触った瞬間、フィルターがかかったような曇りが乗ります。高音を上げてもギターが前に出るというより、ざらつきが増えるだけという感覚でした。

 

数値もdB表示もない3本のスライダー。触る必要がないというより、触ってほしくないのだと思います。「SOUND BY BOSE」を選んでおけば間違いない。アプリを開いた瞬間に感じた作り手の意図は、実際に音を聴き比べてみると納得できるものでした。

 

低音|締まりと塊感のある鳴り方

低音は締まりと塊感があります。

しっかり出ているのに、膨らみすぎないので重さを感じさせません。

 

King Gnu「SPECIALZ」では低音の動きがわかりやすく、奥から前に絞り出されるようなキレのある低音のうねり。この動きのある低音は強いけど楽曲には重さを感じさせず、ノリの良さを感じてボーカルのキーの高さと低音の動きが呼応しているかのようでした。

L'Arc〜en〜Ciel「READY STEADY GO」では常にブンブンとベースが楽曲の中心に鳴り響き、ドラムと共にリズムを刻んでいます。ベースって一見目立ちにくいと思われがちですが、意識できるくらいこのヘッドホンでは楽しめました。

 

ただ、中高音と比べると低音の解像感は一歩譲る印象で、同じレベルを求めたくなりました。

ロックでは曲の土台をしっかり支えてくれる、音楽にノリやすい低音です。

低音好きにも満足感はありつつ、全体のバランスも崩しにくい仕上がりです。

 

中音|ボーカルとギターの表現

中音は、ボーカルやギターが印象的でした。

ボーカルの距離感は自然で、煌びやかな歌声を気持ちよく楽しめます。

エレキギターの高域に伸びる歪みがギラギラ感を醸し出しロックと相性が良さそうです。

 

GLAY「Winter,again」ではエレキギターの歪みが気持ちよく響き、メロディーでは低音から高音までエレキギターを楽しめます。ツインギターであるGLAYでは、それぞれのパートや同時に演奏する音色の違いも楽しめる解像感の良さが印象的でした。

宇多田ヒカル「First Love」ではボーカルの定位の良さと伸びが印象的でした。アコースティックギターとボーカルとの一体感が曲調の力強さや静かさをメリハリある楽曲として楽しめます。質素で味わいのあるアコースティックギターは爪弾きしていることが想像できそうです。

 

J-Popやロックをよく聴く方との相性は良いです。

音の厚みはしっかりあるので、ボーカルやバンドサウンドは熱いものを感じて好印象です。

 

高音|明るくシャープな鳴り方

高音は明るい印象です。

シンバルやストリングスの鳴り方もきれいで、高音が強すぎることはありません。

 

凛として時雨「abnormalize」は楽曲中はボーカルやギターがキンキン鳴り響きます。ボーカルとギターのキーは高いけどしっかりと分離していて刺さるけど聴けるなと思いました。

ただ、もう少しギターは攻めてもいいかなと僕は感じました。
ここは完全に好みの話です。同価格帯のイヤホンやヘッドホンを多く聴いてきた中では、この落ち着き方はむしろ多くの人にちょうどいいと思えるレベルです。僕の所有するFocal Kanta No.1がガンガン攻めてくるタイプなので、その基準で聴くと物足りなく感じただけかもしれません。少しギターの攻めが落ち着いて感じるのはイコライザーで高音を下げているためかと想像します。

GLAY「BETTY BLUE」ではシンバルが乱舞する楽曲ですが、やや奥に引っ込んでいます。響きも抑え気味でもう少し強調が欲しいと感じました。クラッシュシンバルの力強さや伸びに対しては少し物足りなさを感じるかもしれません。

 

高音でも中高音は非常にシャープでキレがあり、ロックなどの楽曲でも華のある美味しい領域はギラギラ気持ちいい楽曲を楽しめます。超高音域のイコライザーが下げられているので、伸びなどが少しマイルドになっていて楽曲によって聴きやすく、ボーカルの強調に生かされているように感じました。

 

10万円クラスのイヤホンと聴き比べてわかったこと

3.3万円という価格は、「その値段なら音も相応でしょ」と見られやすいところです。実際のところどうなのか、上のクラスと比べてみたくなりました。

そこで先日、eイヤホンで試聴してきました。テーマはいつもと同じ「凛として時雨『abnormalize』を、どれだけギラギラした音で聴けるか」の一点です。

10万円を超えるイヤホンをいくつか聴かせてもらいました。分離感は素晴らしく、細かい音まで見通せます。これは価格通りの実力です。

 

ところが、肝心のギラギラ感ではNoise Master Buds MAXほど攻めてくるモデルがありませんでした。

さきほど「もう少しギターは攻めてもいい」と書きましたが、あれはFocal Kanta No.1を基準にした話です。イヤホンやヘッドホンの中で見れば、この攻め方はむしろ突出しています。

価格が上がるほど、音は整っていきます。整うということは、角が取れるということでもある。3.3万円のこのヘッドホンが持っているエッジの立ち方は、上のクラスに行けば手に入るというものではありませんでした。

 

だからこそ、この音は刺さる人には刺さります。バランスの良さで選ぶヘッドホンではなく、この一点で選ぶヘッドホン。そう考えると、かなりコスパの良いモデルです。

 

音場・定位感・分離感

音場はほどよい広さです。

奥行きは感じますが、高さがもう少し欲しいと感じます。

窮屈さを感じるほどではありませんが、音が広がるというより音がこちらに向かってくる印象です。

 

定位感も良い印象で、ボーカルや楽器の位置関係もわかりやすく感じました。

分離感では、特に中高音は音が団子になりにくく、曲の情報量が多い場面でも比較的見通しよく聴けます。超低音はもう少し解像感が欲しいとも思いました。

 

分析的に聴くというより、音楽を気持ちよく楽しめるバランスです。

 

LHDCと空間オーディオ

高音質コーデックのLHDCはiPhoneでは利用することはできません。

そこで外付けトランスミッター「Questyle QCC Dongle Pro2」を利用して音楽を聴いてみました。

iPhoneに接続するだけでLHDCが利用できるトランスミッター

LHDCで聴いてみると、特に低音の解像感が少し上がり音のダイナミックレンジも広がるように感じました。

全体的に音のバランスがよくなり、楽曲をいい音で聴いているような感覚になります。部分部分では少しの差ではありますが、全体を通して楽曲を聴くとコーデックの違いを改めて感じることになりました。

 

また空間オーディオはボーカルの声が響き、声にリバーブを効かせたようで変に聴こえます。左右の音場は広がりますが、定位感が曖昧になり響きを増やして空間の広さを演出している感じ。このヘッドホンのストレートな音の良さが失われているように感じました。

 

ただ映像では印象が変わり、ワイルドスピードX3の立体駐車場でのドリフトシーンでは、音場の広さと響きが非常に演出に一役買い迫力が増してこれは有効でアリだと感じました。セリフは少し奥に配置されるようです。

 

どんなジャンルと相性がいい?

相性が良いと感じたのはロックです。

特にエレキギターの歪みが気持ちよく、ギラギラした音となってこのヘッドホンの良さがわかりやすく出ていました。

普段ロックバンドを聴いている方や、最近はアニソンでも『ぼっち・ざ・ろっく!』や『ロックは淑女の嗜みでして』などを中心に楽しんでいる方には、特に使いやすい一台です。

 

ノイズキャンセリングの効果は?電車とカフェで検証

ノイズキャンセリングは十分な効きです。

 

電車のYouTubeをスピーカーで再生してみました。

  • ゴーとなる騒音は抑えられ、アナウンスは聞こえる
  • 扉の開く時に聞こえるシューといった音や開閉時のブザー音は聞こえる
  • 線路のつなぎめのゴトゴト音は聞こえる
  • 人の声は聞こえるが何を話しているのかはぼやけている

簡単にまとめると、スタンダードなノイズキャンセリング効果で、低域は抑えられ中域は通ってくるといった感じです。電車内のゴーといった騒音には効果を十分に感じられ、背景の静かさを体感できました。

 

電車ではアナウンスが聞こえますので、音楽を停止すれば非常時の咄嗟の対応もできます。

 

カフェ(スタバ)で使ってみた

休日にスターバックスに持ち込んで使ってみました。

  • 店内の騒音やBGMの低音はスーッと消えてスッキリする
  • BGMは響きがなくなる
  • 話し声や笑い声は聞こえるが、明瞭さはなくなる
  • 食器が触れ合うかちゃかちゃした高音は、抑えられるものの聞こえる

低い音がごっそり消えるので、カフェの中でも音楽に集中できます。人の声は聞こえますが、何を話しているかまでは入ってこないので気になりませんでした。

付属のポーチに入れてみました。持ち運びも安心です

ただ、手持ちのSONY WH-1000XXと比べるとノイズキャンセリング性能は一歩譲ります。

この差が面白くて、WH-1000XXは音を消すというより、入ってくる音を選んで空間を作っている感じなんです。対してNoise Master Buds MAXは音を消しにいく。消しているのか空間を作っているのか、その違いがそのまま静けさの質の差として現れていました。

 

カフェで作業する用途なら十分に実用的です。トップクラスを求めないのであれば、不満は出にくいでしょう。

 

ただ、実験中に気になったことがありました。
ノイズキャンセリングをアダプティブにすると、扇風機の風が当たった時に効果が和らいだり効いたりと迷いがありました。これが気になる方はアダプティブではなく固定(低・中・最大の3段階)にしていると気にならなくなります。

圧迫感も少なく日常的に使いやすいノイズキャンセリング性能となっていました。

 

外音取り込み(トランスペアレントモード)は使える?

外音取り込みは実用的な印象です。

このヘッドホンではトランスペアレントモードが外音取り込みです。

 

トランスペアレントモードでは

  • 高音や響きは抑えられている
  • 人の声はよく聞こえるから会話はできる
  • キーボードのタイプ音は聞こえるが少しこもる

ヘッドホンをつけたままでも会話は対応しやすく、使い勝手の良さにつながっています。

自分の声の聞こえ方も自然で、日常使いしやすい仕上がりです。

 

操作性・接続性・アプリ・バッテリー持ちは?

ボタン操作と接続の安定性

操作性はボタン操作のため単純でわかりやすいです。

ボタンが大きくミスなく操作がしやすかったです

ボタンの対応操作は

  • 電源ボタン
    • 長押し:電源ON/OFF
    • 2回押し:ペアリング待ち
    • 音楽再生中:再生/停止
  • 音量+ボタン
    • 1回押し:音量アップ
    • 長押し:次の曲へ
  • 音量ーボタン
    • 1回押し:音量ダウン
    • 長押し:楽曲の冒頭へ
  • ノイズ切替ボタン
    • 1回押し:ノイズキャンセリング(固定)→ ノイズキャンセリング(アダプティブ)→ トランスペアレント → オフの順に切替
    • 2回押し:空間オーディオとミュージックモードの切替

再生時の操作が『音量の+とー』と『再生停止』の3ボタンしかなく、一回押しと長押しとの組み合わせで操作します。

 

ワイヤレスヘッドホンではタッチ操作の機種も多くあり、レスポンスの悪さにより操作ミスが発生しやすいことがまだまだ多いと実感します。成功していてもワンテンポ置いて操作されることもありますので分かりにくいんですよね。

単純な操作にはなりますが、物理ボタンの形状やクリック感は良好です。操作方法も必要十分に割り振られていて、操作性は素直に良いです。

 

サブスクで音楽を聴いている人も多いでしょう。適当に音楽を流していても、この曲はスキップしたい、もう一度聴きたいと思うこともありますよね。そんな時でも物理ボタンの操作性は押すだけですので移動中も操作ミスがなく、思うように操作ができるメリットは大きいと思います。

 

接続性で気になるのが動画を見るときの遅延ですが、YouTubeで動画を通して見ても口の動きに違和感はなく、遅延を感じることはありませんでした。音楽だけでなく動画視聴にも問題なく使えます。

 

マルチポイントにも対応しています

2台同時に接続できるマルチポイントにも対応しています。

 

アプリでは、EQ / モード切替 / マルチポイントなど、必要な機能はしっかり揃っています。

 

バッテリー持ち

バッテリー持ちはメーカー公表最大60時間(ANC使用時は48時間)と非常に長く使えます。

実際に2時間ほど聴き続けても、バッテリー残量はほとんど減りませんでした。今回の試聴期間を通しても30%程度の低下で、充電を意識する場面はありませんでした。

 

とにかく減らないので通勤通学や普段使いが中心なら、そこまで不満は出にくそうです。

 

SONY WH-1000XXと比べてどう?音とノイキャンの違い

SONY 1000X THE COLLEXION(WH-1000XX)と比べてみました

価格帯は違いますが手持ちのSONY WH-1000XXと比べると、Noise Master Buds MAXはギラギラしたシャープな音が魅力です。

一方で、SONY WH-1000XXは音場の広さや温かみのある音での心地よさがあるので、どちらが良いかは何を重視するかで変わってきます。

音だけをみると対極にあるような音質で、自分の音の好みが分かりやすく比べてみても面白かったです。

 

ノイズキャンセリング性能は流石にSONYが強いです。音を消しにいくNoise Master Buds MAXに対して、WH-1000XXは入ってくる音を選んで空間を作るタイプ。静けさの質が違います。

 

Noise Master Buds MAXが向いている人:硬質な音でストレートに音を感じたい

SONY WH-1000XXが向いている人:温かみのある音で心地よく音を感じたい

というふうに考えると選びやすいです。

 

Noise Master Buds MAXの良かったところと気になったところ

良かったところ

実際に使って「これは良いな」と感じたところを挙げてみます。

  • ロックに合うシャープでキレのある中高音
  • ストレスなく操作しやすい物理ボタンの操作性
  • 側圧が気にならない装着感
  • 3万円台では音質が非常に優秀
  • 映画では空間オーディオが迫力の演出に効く
  • 動画を見ても遅延を感じない

特にBOSEが監修した音質は、このヘッドホンの満足感につながる大きなポイントでした。

気になったところ

逆に、使っていて気になった部分も書いておきます。

  • 高音質コーデックはLHDCのみなので対応機種を選ぶ
  • ハウジングのスピン加工部が汚れやすい
  • ノイズキャンセリングのアダプティブでは迷いがあった
  • 中高音と比べると低音の解像感が一歩譲る
  • 2時間ほど装着していると蒸れを感じる

高音質コーデックは音質のことを考えると、LDACやAptX Adaptiveなど一般的に普及しているものに対応して欲しいとは思いました。これは人によっては気になるかもしれない部分という印象です。

 

Noise Master Buds MAXはこんな人におすすめ

ここまでの内容を踏まえると、Noise Master Buds MAXが合うのはこんな方だと思います。

  • 3万円台でも高音質のワイヤレスヘッドホンが欲しい人
  • ロックに合うヘッドホンが欲しい人
  • ワイヤレスヘッドホンの装着感に悩んでいる人
  • 物理ボタンで確実な操作をしたい人

逆に、

  • トップクラスのノイズキャンセリング性能を求める人
  • 有線接続でヘッドホンを使いたい人

こういった方は、別のモデルの方が合う可能性もあります。

 

まとめ|3.3万円で10万円のイヤホンにない音が手に入る

Noise Master Buds MAXは、機能を絞り込んで音質に振り切ったワイヤレスヘッドホンでした。

 

数値表示のないスライダーが3本と、「SOUND BY BOSE」というプリセット。最初にアプリを開いたときに感じた「これを使ってほしい」という作り手の意図は、そのまま音に出ていました。

高音質コーデックも、有線接続も、タッチ操作もありません。その割り切りの上でこのヘッドホンが差し出してくるのは、中高音のエッジの立ち方ひとつです。

 

そして、そのエッジは10万円のイヤホンでは手に入りませんでした。整った音、見通しのいい音は上のクラスに行けばいくらでもあります。でも、ここまで攻めてくる音は3.3万円のこのヘッドホンにしかなかった。

3.3万円で、10万円のイヤホンでは手に入らないものが手に入る。これがNoise Master Buds MAXの答えだと思っています。

 

Noise Master Buds MAXは応援購入の期間を終えて、現在はKibidango Storeで一般販売されています。ロックのギラギラした音が好きな方は、ぜひチェックしてみてください。

 

気になった方はこちらのリンク先からどうぞ

Noise Master Buds MAXstore.kibidango.com